資産を凍結されたオートサーフの12dailyPro その実態は“ポンジースキーム”か
今年2月、FBIが、オートサーフの代表格ともいわれた12dailyProの捜査を開始。続いて2月27日、米証券取引委員会(SEC)が、証券詐欺で12dailyProの運営者を告訴したと発表した。
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●閲覧するだけで収入が
このオートサーフだが、ペイドサーフとも言われ、インターネットのブラウザ上で自動的に変わる広告を閲覧することで、閲覧者が決まった割合、もしくは時間あたりで報酬を得る仕組みだ。報酬を得るためには、これらのサイトに投資している必要がある。
12dailyProはオートサーフの中でも最大級を誇っていたもので、会員となってアップグレードし、自動的に表示される12サイトを閲覧すると、投資した金額の12%が12日間、報酬として支払われるというものだ。例えば12daily Proでは100ドルをアップグレードすると、1日12%、つまり12ドルの報酬を、12日間受領できるので、144ドルの報酬、つまり44%の利益となるというものだった。
実際には、アップグレードの100ドルは含まれないので、44ドルの収入なのだが、オートサーフは極めて簡単に収入を得ることができるということで、米国を中心に人気が広がり、日本でもネットでの収入に関心を持つユーザーが参加していた。
●当局による捜査の契機はStormPayの支払い停止か?
12dailyProに参加するためには、まず投資を行う必要があった。投資は、電子マネー「Storm Pay」で口座を開設した後、Storm Payの口座宛てに、マネーオーダーを送るか、クレジットカードで入金を行うというものだ。このStorm Payが2月に12dailyProのメンバーへの支払いを一時停止扱いにしてしまった。その理由は、12dailyProはポンジースキームであるというものだった。
対して、12dailyProを運営するチャリス・ジョンソンは、Storm Payが、同社以外の電子マネーのオペレーターが、12dailyProの支払いサービスの取扱いができないようにする、すなわちStormPayを「独占プロバイダ」と定めるよう求めたことに対して、ジョンソンが拒否したことへの仕返しであると非難していた。
StormPayが支払い停止を行った後、消費者市民団体のベター・ビジネス・ビューローには、1週間足らずのうちに1万9000件近くのStormPayに対する苦情が寄せられている。さらにDoS攻撃を受け、サービスを停止しなければならなくなった。専門家は攻撃について、支払いの一時停止を受けて怒った12dailyProのメンバーからのものであったと考えている。
2月8日付けの『The Leaf-Chronicle』の報道では、12dailyProではFBIの捜査を受けていることを当初、強く否定していたが、8日の時点では認めているという。さらに『Information Week』は、ジョンソンが「FBIの捜査により12dailyProが公正であることが証明される」と強気の発言をしていることを伝えている。「もし不正を行っていたなら、すぐに拘留されていただろう」と自身の潔白性をアピール。捜査に対して逃げも隠れもせず、完全に協力していると語っている。
オートサーフ関連のブログやフォーラムの書き込みを見てみると、このジョンソンの言葉に胸をなでおろし、対してStormPayは詐欺師だと強く非難するものが多かった。しかし、メディア側の反応は異なり、8日には投資家が慌てて12dailyProの投資に関連した口座の解約を開始していると、ABCニュースが報じている。
利益分、すなわちメンバーの収入分が支払われるべき口座だが、解約のために銀行に走った12dailyProのメンバーはABCに対して、「“不可思議なチャージバック(mysterious charge back、返金要求)”が行われていると聞いた」とその理由を説明する。つまり、利益が支払われるどころか、口座から資金が引き落とされていると聞いたという。さらに口座だけではなく、関連したクレジットカードもキャンセルしているメンバーもいる。ユタ州の州政府機関Consumer Protectionのユタ州部(Utah division)でも、同じく8日付けのABCの報道で、消費者に口座解約を勧めている。
【執筆:バンクーバー新報 西川桂子】
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