2008年のセキュリティ展望 〜国や民間が個人の限界を補う必要性 インタビュー 株式会社ラック 新井 悠 氏
2008年の情報セキュリティの動向や予測を、株式会社ラックのサイバースペース総合研究所 先端技術開発部長 新井 悠 氏に聞きました。
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特集
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●「永遠のビギナー」のPCが脅威の温床に
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2008年の脅威をどう予測するか
新井氏:
Windows XP SP2などによって、日本国内はある程度安全になるかもしれません。しかし、海外、特にアジアでは、バージョンアップを受けられない海賊版OSの使用が盛んで、ボットの温床となっています。国内ではボットは小康状態ですが、世界規模で考えると未だ沈静化の動きはありません。ボットに限らず、今よりも脅威が減っていく可能性は無いと考えています。
アンチウイルスやファイアウォールなどの基本的な対策は今後も必要です。それらの基本的な対策をしていても、感染してしまう危険性がいっそう高まるでしょう。
わたしも参加する総務省の研究会の議論で、先日「永遠のビギナー」という発言がありました。これは、セキュリティに関する対策も、情報収集も何もしないユーザーのことです。けして初心者ユーザーと同義ではない、情報セキュリティに無関心な層となります。たとえウイルスに感染して気づいていてもそれを放置するタイプのユーザーで、この永遠のビギナーが存在する限り、ボットが消えることはないでしょう。
●新たな脅威、スマートフォンの攻撃
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2008年に新しく台頭が懸念される脅威は?
新井氏:
まだ国内のキャリアから発売される予定はないようですが、iPhoneなどの新しいスマートフォンの、海外の研究サイトを見ていると、iPhoneでプレステのソフトを動作させるといったいろいろな事例を見ることができます。いままでパソコンで起こっていた脅威がiPhoneなどの多機能携帯電話でも起こる可能性があると思います。
Wiiなどの家庭用ゲーム機は、基本ネットワークとゲーム機の間にルータが挟まれているので攻撃を受ける可能性は少ないと思います。
また、ネットワークゲーム内でお金やアイテムを現実世界の現金で取引を行うRMT(Real Money Trade)と電子マネーを使って、マネーロンダリングに悪用する事例の増加も懸念しています。
●企業の対応、内部の脅威への対策にシフト
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企業に求められる対応はどう変わるか
新井氏:
企業を狙う脅威には、外的と内的のふたつのレイヤーがあります。外的なものはマルウェアや、DDoS攻撃、ソーシャルエンジニアリングがあり、それを包含するBCP(事業継続計画)対策などが挙げられるでしょう。
内的な脅威には…
【執筆:編集部】
【関連リンク】
株式会社ラック
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