ドラマ「ブラッディ・マンデイ」ハッキングシーン製作秘話 | ScanNetSecurity
2020.03.31(火)

ドラマ「ブラッディ・マンデイ」ハッキングシーン製作秘話

 2008年10月からTBS系列で放映開始、明日12月20日に最終回を迎えるテレビドラマ「ブラッディ・マンデイ」では、コンピュータハッキングが重要な作品要素として取り上げられています。

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 2008年10月からTBS系列で放映開始、明日12月20日に最終回を迎えるテレビドラマ「ブラッディ・マンデイ」では、コンピュータハッキングが重要な作品要素として取り上げられています。

 ドラマや映画のハッキングシーンといえば、どでかいフォントで「ENTER PASSWORD」とモニターに表示されるだの、1分で政府組織のサイトに侵入するだの、専門家の目から見れば荒唐無稽を通り越した、もはやファンタジスタのオンパレード。高校生天才ハッカーが活躍するという「ブラッディ・マンデイ」の設定を耳にしたとき、背筋に冷たいものが走った識者も多かったに違いないでしょう。

 しかし実際に放映が開始されると、その予想はいい方に裏切られました。「ブラッディ・マンデイ」は、放映開始直後からハッキングシーンのリアリティが一部で評判になりました。

 同作品の技術監修を行ったのは、株式会社サイバーディフェンス研究所。同社は、セキュリティ専門家集団であるチームdumbtech を擁して、国際的なハッキングイベント DefCon CTF に参加し日本チームとして善戦を繰り広げる一方、国内大手企業を中心に実ハッキングによるリアルなペネトレーションテスト実績を多く持っています。

 フィクションであるハッキングシーンにリアリティを与える技術監修はどのように行われたのか? この疑問に答えるべく、フィクションにおけるハッカー研究の国内第一人者として知られる TIP 氏が、サイバーディフェンス研究所を取材しました。


●ハッカーが主役の初めてのテレビドラマ

 ハッカーが主役のテレビドラマ。いつかそんな作品が作られることもあるかもと思っていたところ、TBS「ブラッディ・マンデイ」が始まった。筆者が知る限りハッカーが主役の連続ドラマは初めてで、しかも日本発。ドラマが開始される何ヶ月も前から楽しみにしていた。原作は週刊少年マガジン(講談社刊)に現在も連載されているコミックだ。

 「ハッカーが登場するシーンの技術監修の仕事をやりたい」と筆者は以前から夢想していたので、「ブラッディ・マンデイ」の技術監修を担当したサイバーディフェンス研究所にインタビューに訪れた。


●シンプルな指示からどう細部を組み立てるか

 ドラマのハッキングシーンはサイバーディフェンス研究所の松野真一氏と、本誌Scanでも何度か執筆している同社のラウリ・コルツパルン氏によって作られている。

 サイバーディフェンス研究所に事前に手渡されたテレビドラマの台本にはハッキングシーンについての細かい指示はなく、全面的にサイバーディフェンス研究所に任されているようだ。

 台本に記載されているのは、、

 「ここで安藤がハッキング」

 「今回は中間者攻撃で」

 といった、簡潔な指示であることが多いという。

 そのためハッキングセミナーなども開催する松野氏とラウリ氏の2人が遺憾なく力を発揮し、リアルなハッキングシーンが肉付けされ、作り込まれた。

 シーンを作る際には、まず具体的なシステムを想定し、そのハッキング方法を検証する。そして実際に動くコマンドを用いて全体の流れを作り、それらをコンソール上で自動実行した画面を録画する。最後に製作側で、Windows VISTAの画面にはめ込むことで、三浦春馬さんが演じる高木藤丸のハッキングシーンなどができている。


●typo防止のため自動実行に

 自動実行にしているのは、スピード感とtypo防止が目的だそうだ。ハッカーがtypoしてSLが走ると格好が付かないということか。

 オリジナルの映像を見せていただいたが、ドラマ本編で使われているのは10分の1ほどではないだろうかと感じた。個人的にはハッキングシーンをたくさん見たいが、それだと一般視聴者ではなくマニア向けになるのでカットされるのは仕方がないことなのだろう。


●視聴者の分析の答え合わせ

 取材には、CNET Japan内のブログ「高校生サーバー管理者の考察日誌」で「『ブラッディ・マンデイ』を考察する」という記事で、ドラマを視聴し、ハッキングシーンを詳しく調べていた isidaiさんと lizanさんも同行した。彼らは現在高校3年生で、経産省が開催するセキュリティキャンプの卒業生でもある。

 isidaiさんのブログでは劇中のハッキングシーンの解説がされているが、それが正解かどうかという答え合わせが今回の取材中に行われた。結果、カットされたハッキングの過程の影響もあり、完全な正解は半分ぐらいだったようだ。

 ブラッディ・マンデイの次回作や、その他ハッカードラマがいつ作られるかは知らないが、そのときには技術監修をやってみたいとここで表明しておく。

【執筆:TIP】


<執筆者略歴>
 映画や小説に登場するハッカーを技術考証するコラム「世界空想ハッカー列伝」をハッカージャパン誌(白夜書房刊)に執筆。6年間の長期連載で掲載回数は34回(2008年12月現在)を数える。「ウォー・ゲーム」や「ザ・ハッカー」などの定番から「ゴルゴ13」まで、ハッカーが活躍する映画・小説・コミックを幅広く取り上げるハッカー評論の日本第一人者。
 TIP のハンドルネームでハッカーとして活躍するかたわら、セキュリティのスペシャリストとして企業向けのコンサルティングを行ったり、官公庁主催のセミナーなどで講師として教鞭を執る。将来「ハッカー評論家」の肩書きでタモリ倶楽部出演が目標。


【関連リンク】
TBS「ブラッディ・マンデイ」
http://www.tbs.co.jp/bloody-monday/
サイバーディフェンス研究所
http://www.cyberdefense.jp/

《ScanNetSecurity》

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