情報セキュリティの10大潮流 [3] 第3の大潮流「ガバナンス(内部統制)時代の到来」【前編】
本連載では、情報セキュリティの進化の中、10大潮流を取り上げ解説していきます。10大潮流を「セキュリティ管理の確立」と「安全安心な電子社会の構築」の2つのカテゴリ毎にそれぞれ5大潮流を定義して概説し、社会環境の変化とともにその動きを振り返り、将来の方向感
特集
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第3回目は第3の大潮流として「ガバナンス(内部統制)時代の到来」について説明します。
*参考1 情報セキュリティの10大潮流−その1−
http://www.nttdata-sec.co.jp/article/security/090715.html
■■ セキュリティ管理の確立【カテゴリ1】 ■■
第3の潮流「ガバナンス(内部統制)時代の到来」
日本の情報セキュリティは、1990年代の暗号技術をはじめとするセキュリティ技術の進展をベースに、2000年代初頭からISMS評価認定制度を中心とするマネージメント時代を経て、現在はガバナンス時代に入っています。今回は第3の潮流としてガバナンス時代のセキュリティについて解説していきます。
1.セキュリティの新しい潮流
(1)OECD(経済協力開発機構)
2002年、10年ぶりにOECDのセキュリティガイドラインが改訂されました。改訂の中心は、本文中に良く出てくるCulture of Securityということです。これはセキュリティを文化として捉えて行こうということです。良く耳にする「企業文化」では、「会社の経営方針の下に、社員全員が利益や社会的責任を追及していこう」とすることです。同様にセキュリティ文化は「セキュリティポリシーに基づいて、従業員全体がセキュリティの確保に向けて活動していこう」ということです。OECDのガイドラインでは、情報セキュリティが企業経営そのものになってきていることを訴えており、そこには企業のガバナンスが働くべきことを要求しております(*図1)。
*図1
https://www.netsecurity.ne.jp/images/article/10dai_3_1.jpg
(2)SOX(サーバンスオックスレイ)法
一方大企業の不正会計事件に端を発して、米国では上場企業に対する投資家の信頼回復をねらった企業改革法(SOX法)が2002年に成立しました。この事件は米国社会に大きな衝撃を与え、コーポレート・ガバナンス、ディスクロージャー制度や社外監査人の独立性、会計基準等々、資本市場を支える多くの法制度について改革が必要であることを明らかにしました。
SOX法では、企業が健全に事業を維持拡大していくために、コーポレートガバンス(企業統制)が不可欠であり、このコーポレート・ガバナンスを実現するためには、効率的な社内管理・内部統制(インターナルコントロール)と連携することが求められます。SOX法は、会計原則にかかわる法律ですが、今日の企業財務会計プロセスはITに支えられており、当然ITおよび情報セキュリティの問題としても認識されているところです。
(3)日本版SOX法(金融商品取引法)の施行
日本版SOX法は通称で…
【執筆:NTTデータ・セキュリティ株式会社 エグゼクティブ・セキュリティマネージャ 林 誠一郎】
*各規格名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
【関連リンク】
NTTデータ・セキュリティ セキュリティ対策コラム
http://www.nttdata-sec.co.jp/column/index.html
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