一方で、効果的なツールを使って診断を自動化したり、社内で内製化したいというニーズは社会的に高まっている。AppScanは、どの程度この需要に応えることができるだろうか。今回筆者は、日本IBM社の協力を得て、そんな筆者の疑問を検証する機会を得たので、詳しくレポートすることにする。長文ご容赦願いたい。
Rational AppScan
●脆弱性スキャンツールとしてシェアトップ
AppScanはWebアプリケーションのセキュリティチェックツールであり、セキュリティの診断ツールとして、調査会社のIDC社やガートナー社の調べで、ともにシェア1位に君臨している。
今回筆者が試用したスタンダードエディションは、Webアプリケーションをブラックボックスとして検索するため、OSや言語、データベースの種別に関わらず外から診断して問題を見つけることができる。
通常人間がやるテストを自動化し、手作業よりもはるかに短い時間で、網羅性高く診断を実施することで、結果的にコストを大きく下げることが特徴だ。
指摘だけでなく修正方法の提示や、レポートを作成し、開発会社に渡して直してもらうこともできる。
●対話形式のインタフェース
診断の設定はウィザード形式で簡単に行うことができた。Webアプリケーションか、SOAPを使うWebサービスかいずれかを選んで、次に開始のURLを指定するとそこから自動的にリンクをたどってアプリケーション全体の診断を進めていく。
ログインの方法を指定することで、IDとパスワードを入力して、ログインして使うWebアプリケーションも診断することができる。
また、たとえば買い物カゴなど、特定のシーケンスで動かなければならない場合、必ずそのステップを通って診断してくれる「マルチステップ操作」を行うことができる。
●6年でAppScanが進化したこと
AppScanは、Javaスクリプトの診断機能も持っているため、Javaスクリプトを実際に実行して、そこから出てくるURLに対して診断を行うこともできる。
筆者が知っていた6年前と比べると、FlashやAjaxなど、いわゆるWeb2.0対応がなされている。また、パターン数が増え、セッション固定攻撃や、ストアドXSS等の攻撃への対応もできていた。フリーのスキャンツール「Paros」について冒頭で触れたが、取材協力の日本IBM社によれば、アップデートが何年もされていないParosの機能とは、現在そもそも比較にならないという話だ。(つづく)
Rational AppScan
(取材協力:日本アイ・ビー・エム株式会社/執筆:上野 宣)