訃報:セキュリティの草分けロス・アンダーソン氏 死去 67 歳、何回分かの生涯に匹敵する業績 | ScanNetSecurity
2024.07.27(土)

訃報:セキュリティの草分けロス・アンダーソン氏 死去 67 歳、何回分かの生涯に匹敵する業績

 彼は英国王立協会のフェローでもあり、ニュートン、ダーウィン、ホーキング、チューリングが名を連ねる「知の殿堂」入りを果たしていた。

 ピアツーピアシステムとハードウェアの耐タンパー性における草分け的存在である彼は、チップや銀行の暗証番号カードなどの安全な設計に長年取り組み大きな影響を与えた。そして、ATM におけるセキュリティ上の欠陥を公表するというアンダーソンの取り組みにより、世界中で ATM の設計が変更されることとなった。

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 尊敬すべきコンピュータ科学者であり、情報セキュリティの専門家であるロス・アンダーソンが 67 歳で亡くなった。

 アンダーソンの家族は、彼の友人やケンブリッジ大学の同僚にこの悲報を伝えた。アンダーソンは、ケンブリッジでセキュリティ工学の教授として、またチャーチル大学の上級研究員として働いていたが、3 月 28 日木曜日の就寝中に突然息を引き取った。

 アンダーソンをある領域の単なる専門家として分類するのは無理があり、多くの偉人たちと同様に、その興味は広範でありながら深いものであったことから、時代のなかで最も素晴らしく、そして最も尊敬された人物の 1 人であり、叙勲受章歴のあるセキュリティ専門家で高名なエンジニアと表現するのが妥当であろう。

 個人としてのたいへん多くの受賞歴のなかでも、とりわけ英国で最も権威のあるコンピューティング賞である英国コンピュータ協会の「ラブレースメダル」は注目に値する。また、彼は英国王立協会のフェローでもあり、アイザック・ニュートン、チャールズ・ダーウィン、スティーヴン・ホーキング、アラン・チューリングが名を連ねる「知の殿堂」入りを果たしていた。

 彼の専門分野は、情報セキュリティ、暗号化技術、システムの信頼性、情報ハイディング、敵対的機械学習、サイバー犯罪分析、セキュリティ心理学など多岐にわたった。

 アンダーソンの研究は主に現実世界の問題がそのきっかけとなっており、数多くの幅広い論文を執筆および共著してきた。その多くはクリエイティブ・コモンズ・ライセンスのもとで無料公開されている。


《The Register》

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