工藤伸治のセキュリティ事件簿 第15回
※本稿はフィクションです。実在の団体・事件とは関係がありません※
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翌日の午後、葛城のところに行くと、
「工藤さん、うちの和田となにかありましたか?」
葛城が渋い顔でオレに言った。オレは、和田から解放された後、ほとんど徹夜で罠の計画を資料にまとめて、すぐに葛城に会いに来たのだ。これ以上オレに負荷をかけるな。
「昨日、一緒にメシ食ったけど、なにか?」
お前はろくなシステム管理もしてないくせに、そっちの方には敏感なのか。
「和田が相談があると言うので話を聞きました。彼女の主張によれば、あなたが彼女に暴行したということになっています。和田はことを荒立てたくないと言っていますが、どうしますか?」
「おいおい、まさか本気にしてないだろうな」
オレは血の気が引いた。そこまで電波だと思っていなかった。
「彼女のエキセントリックな言動には慣れてますから、言うことを鵜呑みにすることはありません。ご安心ください。放っておけば忘れますよ」
オレはほっとした。
「ただ、なにもなかったとも思っていません。あなたと和田が二人で歩いているところを目撃した社員が複数います。クライアントの女子社員に手を出すのは、ルール違反じゃないんですか?」
「わかった。オレが悪かった」
オレは素直に頭を下げた。でも納得したわけじゃない。いいじゃん。自由恋愛なんだから。文句言われる筋合いじゃない。
「今後はご注意ください」
「わかった」
「で、計画はできましたか?」
オレは葛城に資料を渡して説明した。今日の夕方にシステム部全員を会議室に集める計画は万全のはずだったが、和田の話を聞いたオレは全くやる気がでなかった。
【註解】
一般的にIT系、特にネット関係を仕事にしている連中の中には、電波を受信しがちな人が少なくない。ツイッターで「薬を飲んだ」とか平気でつぶやいている。やばい。仕事にあたっては、こういう輩とはあまり親しくしない方が得策である。しかし、ごくごく普通に仕事のできる人と思っていたら、突然そういう人になってしまうこともあるので察知するのはきわめて難しい。筆者オススメのもっとも簡単な対処方法は、仕事の相手や同じ職場の人間とは、プライベートなつきあいをしないことである。学生時代の友達や趣味の友達とだけプライベートなつきあいをすれば、いいのである。これで万事解決だ。
【執筆:才式】
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