工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン2「V-CRY」 第3回「V-CRY」 | ScanNetSecurity
2026.05.17(日)

工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン2「V-CRY」 第3回「V-CRY」

※本稿はフィクションです。実在の団体・人物・事件とは関係がありません※

特集 フィクション
>>第 1 回から読む

「メールマガジンの登録者は66万人です。PC利用者が12万人。54万人が携帯利用者です」

相沢は資料を見ながら、つぶやくように説明した。

「携帯利用者多いな…」

「誘導されたサイトには、ウイルスの危険性について、説明が書いてあります。これが携帯電話向けの画面です」

相沢はプロジェクタでその画面を壁に映した。

そのページには、オサイフケータイから金が盗まれるとか、友達に偽メールが送られるとか、保存している画像がネットにばらまかれるとか、いい加減なことが書いてあった。ちょっとわかってる人間なら、でたらめだとわかる。だいたい携帯ウイルスそのものが、そんなに存在していないのだ。

「露骨なウソだな」

オレは、あまりにでたらめな説明にあきれながら言った。

「ええ。しかし携帯利用者には、ウイルスに関する基本的な知識を持っていない人もいるようで、だまされてしまう人も多いようです」

相沢は軽くうなずくと、別の画面を表示した。さらにひどいウソが書いてあった。『V-CRY』は、最新の技術で携帯電話も無料オンラインスキャンして、すぐに結果が出ると書いてある。もちろん、オンラインスキャンなんかしないで、ちょっと待たせた後で、ウイルスに感染してます、と表示して利用者を脅かすのだ。

「わかりやすいウソだな。それで、アレだろ。ウイルスが見つかったから、駆除しないと大変なことになりますとか、有料ソフトを買えとか出るって、典型的な偽アンチウイルスソフト詐欺だ」

「ご存じでしたか…」

「数年前からはやってるよ。知らない方がどうかしてる。あんた、知らなかったの? 知らなかったではすまない話だと思うんだけどなあ」

オレが言うと、相沢が露骨にいやな顔をした。オレは言い過ぎたかと少し反省した。こういう無知な客がいい客なのだ。怒らせちゃいけない。

「まあ、一般にはあまり知られてないかもね」

オレはさりげなく、フォローしてやった。システム関係者は、妙にプライドが高いヤツが多いので気配りは欠かせない。

「こちらこそ、失礼しました。被害者の対応は、いくつかに分かれます。ひとつは、そのまま購入してしまうパターン。ひとつは、購入しないで自分で対策を調べるパターンです。自分で対策を調べた方の中には、これはおかしいと気がついた人も多いと思います。弊社に、あやしい広告が入っていると、ご連絡いただいた方もいます。ただ、おかしなブログがあるんです。偽ウイルスの名前で検索すると、そのブログが上位に表示されてしまうんです」

「ブログってなに?」

>> つづき

《ScanNetSecurity》

特集

PageTop

アクセスランキング

  1. あいおいニッセイ同和損害保険からの出向者がトヨタ自動車の内部情報を不適切に提供

    あいおいニッセイ同和損害保険からの出向者がトヨタ自動車の内部情報を不適切に提供

  2. WordPress 用プラグイン Advanced Custom Fields にXSSの脆弱性

    WordPress 用プラグイン Advanced Custom Fields にXSSの脆弱性

  3. コープいしかわのギフトカタログオンラインショップ委託先にランサムウェア攻撃

    コープいしかわのギフトカタログオンラインショップ委託先にランサムウェア攻撃

  4. 東山産業へのランサムウェア攻撃、データの公開を確認

    東山産業へのランサムウェア攻撃、データの公開を確認

  5. 不正アクセスでWebサイト改ざん被害、閲覧者を別のショッピングサイトに誘導(NYKシステムズ)

    不正アクセスでWebサイト改ざん被害、閲覧者を別のショッピングサイトに誘導(NYKシステムズ)

ランキングをもっと見る
PageTop