Microsoft Windows の TCP/IP スタックにおけるメモリ領域の二重解放の脆弱性(Scan Tech Report) | ScanNetSecurity
2024.05.11(土)

Microsoft Windows の TCP/IP スタックにおけるメモリ領域の二重解放の脆弱性(Scan Tech Report)

Microsoft Windows の TCP/IP スタックにメモリ領域を二重に解放してしまう脆弱性が報告されました。

脆弱性と脅威 エクスプロイト
1.概要
Microsoft Windows の TCP/IP スタックにメモリ領域を二重に解放してしまう脆弱性が報告されました。
システムにアクセス可能なローカルの悪意あるユーザに利用された場合、ブルースクリーンを発生させ、システムを不正に停止される、あるいは他プロセスの高い権限を取得され、本来許可されていない操作が実行される可能性があります。
脆弱性を悪用された場合の影響度が高いため、対象のユーザは可能な限り以下の対策を実施することを推奨します。


2.深刻度(CVSS)
6.8
http://nvd.nist.gov/cvss.cfm?version=2&name=CVE-2012-0179&vector=%28AV%3AL/AC%3AL/Au%3AS/C%3AC/I%3AC/A%3AC%29


3.影響を受けるソフトウェア
Microsoft Windows 7 for 32-bit Systems SP1 以前
Microsoft Windows 7 for x64-based Systems SP1 以前
Microsoft Windows Server 2008 R2 for x64-based Systems SP1 以前 ※
Microsoft Windows Server 2008 R2 for Itanium-based Systems SP1 以前 ※

※Server Core インストールも、この脆弱性の影響を受けます。


4.解説
Microsoft Windows の TCP/IP スタック (tcpip.sys) には、ローカルインタフェースへの IPv6 アドレスのバインド処理に不備があるため、不適切なIPv4マップアドレス (IPv4 アドレスを IPv6 アドレスとして表現するアドレス) を繰り返しバインドした場合に、メモリ領域を二重に解放してしまう脆弱性が存在します。

この脆弱性を利用することでシステムにアクセス可能なローカルの攻撃者は、ブルースクリーン (BSOD) を発生させ、結果としてシステムをサービス不能状態にする、あるいは高い権限を持つプロセスを介して権限昇格を行い、当該権限で任意のコードを実行する可能性があります。


5.対策
以下の Web サイトを参考に、それぞれの Microsoft Windows OS に対応する適切なパッチ (MS12-032) を入手し適用することで、この脆弱性を解消することが可能です。

MS12-032:
http://technet.microsoft.com/security/bulletin/MS12-032

また、当該パッチでは、他にも Windows ファイアウォールによるセキュリティ制限を回避可能な脆弱性 (CVE-2012-0174) も解消しています。詳細につきましては、上記 Microsoft より提供されるセキュリティアドバイザリを参照下さい。


6.ソースコード
(Web非公開)

(執筆:株式会社ラック サイバー脅威分析センター

※Web非公開該当コンテンツ閲覧をご希望の方はScan Tech Reportにご登録(有料)下さい。

《吉澤 亨史( Kouji Yoshizawa )》

関連記事

特集

PageTop

アクセスランキング

  1. 護衛艦いなづまの艦長、資格のない隊員を特定秘密取扱職員に指名し懲戒処分

    護衛艦いなづまの艦長、資格のない隊員を特定秘密取扱職員に指名し懲戒処分

  2. デジサートのEV証明書の記載フォーマットに誤り、再発行とサーバへの入れ替え呼びかけ

    デジサートのEV証明書の記載フォーマットに誤り、再発行とサーバへの入れ替え呼びかけ

  3. ランサムウェア被害の原因はスターティア社の UTM テストアカウント削除忘れ

    ランサムウェア被害の原因はスターティア社の UTM テストアカウント削除忘れ

  4. テレビ宮崎グループ会社にランサムウェア攻撃、請求書発行システムを停止

    テレビ宮崎グループ会社にランサムウェア攻撃、請求書発行システムを停止

  5. 豊島のサーバにランサムウェア攻撃、復旧済みで業務に影響なし

    豊島のサーバにランサムウェア攻撃、復旧済みで業務に影響なし

  6. 北 中華製AIを攻撃活用/北 DMARC不正利用/北 日本のアニメ制作関与か ほか [Scan PREMIUM Monthly Executive Summary 2024年4月度]

    北 中華製AIを攻撃活用/北 DMARC不正利用/北 日本のアニメ制作関与か ほか [Scan PREMIUM Monthly Executive Summary 2024年4月度]

  7. 社内不正 1位 情報持ち出し・2位 横領・3位 労働問題 ~ 被害企業 230 社調査

    社内不正 1位 情報持ち出し・2位 横領・3位 労働問題 ~ 被害企業 230 社調査

  8. サイバーセキュリティ人材、女性の平均給与は男性と約80万円差 ~ ISC2 調査

    サイバーセキュリティ人材、女性の平均給与は男性と約80万円差 ~ ISC2 調査

  9. Proofpoint Blog 36回「身代金を払わない結果 日本のランサムウェア感染率減少? 感染率と身代金支払率 15 ヶ国調査 2024」

    Proofpoint Blog 36回「身代金を払わない結果 日本のランサムウェア感染率減少? 感染率と身代金支払率 15 ヶ国調査 2024」

  10. 経団連、個人情報保護法に基づく漏えい報告や本人通知にリソースを割く現状を問題視

    経団連、個人情報保護法に基づく漏えい報告や本人通知にリソースを割く現状を問題視

ランキングをもっと見る