顔認証システムの現状、顔写真を使った「なりすまし」も3Dデータ照合で防ぐ | ScanNetSecurity
2024.05.18(土)

顔認証システムの現状、顔写真を使った「なりすまし」も3Dデータ照合で防ぐ

 今回ピックアップするのは、顔認証と指紋認証を使ったアクセスコントロールシステム。従来のICカードを使ったシステムと比較した場合、セキュリティ面での優位性があるバイオメトリクス(生体認証)を採用したシステムは、各社が意欲的に製品開発を進めている。

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同システムで使われる顔認証は、3D座標点による顔データとなるた、顔画像などが保存されることはない(撮影:防犯システム取材班)
同システムで使われる顔認証は、3D座標点による顔データとなるた、顔画像などが保存されることはない(撮影:防犯システム取材班) 全 7 枚 拡大写真
 世の中に日々登場している防犯・防災製品&サービスのなかから、もっと詳しく性能や機能を知りたいモノを防犯システム取材班がピックアップして、取材や検証を元に"深掘り"していく不定期連載。


●話題の生体認証はどれくらい便利!?

 今回ピックアップするのは、顔認証と指紋認証を使ったアクセスコントロールシステム。従来のICカードを使ったシステムと比較した場合、セキュリティ面での優位性があるバイオメトリクス(生体認証)を採用したシステムは、現在、各社が意欲的に製品開発を進めている。

 近年に関していえば、普及が進みつつあることで価格面が以前よりは導入しやすい価格帯になりつつあり、さらに性能が向上し、セキュリティ面のみならず、利便性の面でもICカード認証を上回る製品が続々と市場に登場し始めている。

 そして生体認証の中でも、顔認証に関しては、ハンズフリーでの運用が可能なため、作業効率化を図りたい工場、特に衛生面への配慮が必要な食品工場でニーズは高まっている。

 また、指紋認証関しては、セキュリティ面はもちろんのこと、顔認証と比べた場合に導入しやすい価格帯のため、顔認証と共に注目される認証方式の1つだと言えるだろう。

 では実際どれくらい利便性は向上したのかだろうか?

 そこで、システムイオの協力のもと、利便性の象徴と言えるウォークスルーによる認証を実現する最新の顔認証&指紋認証ソリューションの利便性を実際に体験してきた。

●立ち止まらずに入退場できる顔認証システム

 まず最初は、3D顔認証&ウォークスルー認証が可能な「Broadway3D」。人の顔を約200,000ポイントに及ぶ3D座標点データにし、そのデータと認証端末が取得したデータを照合して、本人認証するシステムとなる。

 ビルやオフィスのエントランスに設置されている入退ゲート(フラッパーゲートなど)と連携させれば、従来のICカードを使った認証よりも、スピーディーでセキュリティレベルが高い認証を実現することができる。

 顔認証のメリットとしては、ICカードと違い、カードを忘れてゲートを通れなかったり、カードの紛失や盗難により、本人以外の人に使われるというリスクを低減できる点が挙げられる。

 また、顔を向けるだけで認証できるので、荷物などを持ち、手がふさがっている状態でも使える点も大きなメリットといえよう。

 取材時には、実際にスタッフの顔を登録してもらい、ウォークスルー認証を体験させてもらったが、登録作業は1分以内で済み、認証に関しては、立ち止まることなく行えた。さすがに走っての認証はできないが、普通の徒歩スピードなら問題なく認証可能だった。

 ちなみに顔認証というと、「自分の顔写真が残ってしまうのでは?」という不安を抱く人もいると思うが、同システムでは、赤外線3Dスキャニングという技術で認証するため、顔写真が保存されるわけではない。そのため、プライバシーや個人情報の流出リスクが抑えられている。

 今回は実際に検証する機会はなかったが、顔写真などを使った「なりすまし」に対しても、3Dデータで照合するため防ぐことができ、双子に関しても見分けられるそうだ。

●指紋認証もウォークスルー化

 続いては、タッチレス指紋認証を実現する「MorphoWAVE」。タッチレスというと聞き慣れない言葉だが、従来は認証端末に接触させる必要があったのを、接触不要で瞬時に認証を行うシステム(特許技術)となる。

 指を認証端末に接触させないので、遺留指紋が残らず、湿ったり、乾燥した指でも認証可能。誤認識や認識エラーを抑制し、歩きながら認証を実現している。

 こちらも入退ゲートなどとの連携が可能で、他にも入退を制限する必要があるサーバルームやデータセンターなどでの入退管理、高いセキュリティが求められる金融機関やインフラ設備などでの勤怠&入退管理といった利用が想定されている。

 実際に使ってみたろころ、指紋は4本分の指を登録する必要があり、1~2分を要するが、認証に関しては、認証端末に手を広げてサッと通すだけで完了。文字通りウォークスルーによる運用が可能だ。

●普及が進む生体認証と高速化

 今回取材したシステムイオの担当者によれば、現在、生体認証を活用したアクセスコントロールシステムは、性能の向上に反して、価格はひと昔前よりもこなれてきたこともあり、ニーズが高まっているという。

 また、主に金融機関を中心に推進されている「フィンテック」分野(金融とITを融合した新産業分野)でも、決済サービスに生体認証を組み込むという動きも活発で、今後、さらなるセキュリティの強化と利便性の向上が予想されるとのこと。

【深掘り!#003】認証速度が向上するバイオメトリクスの今

《防犯システム取材班/小菅篤@RBB TODAY》

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