“最新”セキュリティソリューションにひと泡吹かせる、“枯れた”Webフィルタリング技術でサイバー攻撃を防ぐオドロキの方法
Webフィルタリングとは、Webサイトの URL をデータベース化して、カテゴライズとスコアリングを行うことで、子供が危険なサイトにアクセスするのを防いだり、従業員が業務上必要のないサイトを閲覧することを制限する技術である。
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やがて ALSI は、日本市場のニーズに対応するため、西暦 2000 年に自社開発製品「InterSafe」をリリースする。記念すべき法人向け国産 Webフィルタリングソフト第一号の誕生である。
翌 2001 年にはトレンドマイクロ株式会社と共同で、URL を収集しデータベース化を行うため、ネットスター株式会社を立ち上げる( 2013 年 ALSI が完全子会社化)。Webフィルタリングの DB 作成のために専業会社を設立する試みは、国内では前後に例がないが、それもそのはず、ALSI の Webフィルタリング事業立ち上げメンバーが当時掲げていた目標は、「地球上のすべての Webサイトのデータベース化」だった。ALSI は Google が設立される 2 年前に、後の Google が抱いたのと同じ野望を抱いた。当時 Web サイトの数自体がまだまだ少なかったということを加味しても、野心的目標であるといえる。
確かに、良いサイトも悪いサイトも、存在する Web すべてをデータベース化できたなら、完璧なコントロールが実現することは間違いない。しかしそれはあくまで理論上の話である。まるで神話のような、SF のようなこのワイルドな夢を、その後 ALSI は 20 年以上にわたって追い続けていく。
InterSafe ブランドはその後、「違法サイト遮断」「掲示板書き込み規制」「個人情報漏えい防止」など、それぞれの時代ごとに移り変わる脅威とセキュリティ管理需要の変遷に、Webフィルタリングの特性を活かして応え続ける。
やがて事業開始から 16 年。2012 年 7 月に販売開始した Ver. 8.0 は、網羅率 98 %というデータベース精度を達成する。ただしこれは「InterSafe WebFilter ユーザー企業のイントラネットからアクセスが試みられた外部通信のうち 98 %」という意味だ。
「地球上のすべて」という野望にはほど遠いが、社員がアクセスしないサイトは管理上存在しないことと同義であり、アクセス先 URL の網羅率こそが対策上有為であるという現実的仕様といえる。
そして Ver. 8.0 のリリースから約 5 年半の年月を経て 2017 年 11 月に発表された InterSafe WebFilter Ver. 9.0 は、アクセス可否の判定や URL の再分類を行う「高度分類クラウド IWCC( Intelligent Web Classifier Cloud )」機能を追加、高度なサイバー攻撃への対策用途を本格的に前面に打ち出した。
InterSafe WebFilter ユーザー企業のインターネット利用において 100 件の通信先があった場合( 100 件のアクセスではなく 100 件の通信先の種類)、98件 ( 98% ) の通信先は InterSafe WebFilter の DBに網羅済である。
DBで判定できなかった未知の 2 件( 2% )の通信先は、アクセスが微少なニッチサイトや、一時的に開設される悪性サイトなどの情報を収集更新する、クラウド上の第2のデータベース「高度分類クラウド ( IWCC ) 」によって再分類される。
この 2 段階の判定でも該当しない場合に限り InterSafe WebFilter Ver. 9.0 は、通信しようとしているユーザーに対して警告を表示したり、「接続」ボタン押下やパスワード入力の要請、あるいは接続ブロックなど、要はリスクが潜在する可能性のある通信をすべて管理下に置くことができる。冒頭で挙げた短いサイクルで所在を変えるような C&C サーバは、こうして管理下に置かれる。
また、InterSafe WebFilter は、ブラウザによる Web アクセスだけでなく、イントラネットから発する全ての HTTP/HTTPS 通信の精査を行うため、マルウェアが試みる正規を装った外部への通信もその対象となる。未知の接続先と通信を行うのは人間だけではない。マルウェアは「接続」ボタンを押下したり、パスワード入力を行うことは当然できないため、高度なサイバー攻撃のほとんどで行われる C&C サーバへの通信を遮断することができる。
さて、ここまで読んできた ScanNetSecurity 読者は、要は Ver. 9.0 の手法は例の「アレ」ではないかとお気づきのことだろう。
《取材:中尾 真二 / 文:高橋 潤哉》
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