データはどこに行った? ワンビ 加藤氏と圓窓 澤氏の名コンビが考える「データライフサイクル」とセキュリティ | ScanNetSecurity
2023.10.01(日)

データはどこに行った? ワンビ 加藤氏と圓窓 澤氏の名コンビが考える「データライフサイクル」とセキュリティ

今回二人がテーマとするのは、セキュリティという言葉が一人歩きし、製品やサービスが肥大化・複雑化した現在、自分たちは一体何を守っているのかという問題意識だという。

研修・セミナー・カンファレンス セミナー・イベント
PR
ワンビ株式会社 代表取締役社長 加藤 貴 氏
ワンビ株式会社 代表取締役社長 加藤 貴 氏 全 2 枚 拡大写真
 タイトルを一読しても何がテーマなのか容易にはわからない講演があるが Security Days Fall 2021 で 10 月 6 日 (水)に行われるセッション「業界30年のコンピューター専門家、2人が専門的なIT用語なしで、セキュリティ対策について解説する」もまさにそういうセッションだ。

 こんなことを書いては怒られそうだが、セキュリティという産業の性格上、真面目で悲壮感漂うセッションも少なくない中で、この講演はとにかく楽しそうだ。セッションは 2 名の専門家が登壇し、トークショー形式で行われるが、ページを一度見て欲しい。講演概要ページは、まるで高見沢王子と坂崎さんのような絵ヅラである。面白くならないはずがない。

 2 人の登壇者とはそれぞれ、ワンビ株式会社 代表取締役社長 加藤 貴(かとう たかし)氏と、株式会社圓窓 代表取締役 澤 円(さわ まどか)氏の二人である。王子は澤氏の方だ。

 加藤氏はトレンドマイクロ社の最初期の開発メンバーとしてウイルスバスター他同社の多数の製品の Ver.1.x の開発を手がけたあとサイボウズに移り、ガルーンの開発に携わった。2006 年、ワンビ株式会社を起業。

 澤氏は大手生保の IT系グループ会社を経てマイクロソフトに移り、マイクロソフトテクノロジーセンターに所属しながら、サイバーリスクを啓蒙するサイバークライムセンターの責任者も務めた人物。2019 年、株式会社圓窓を起業している。

 二人とも昭和 44 年生まれ。Windows 登場初期からソフトウェア開発に関わり、インターネット黎明期からネットの安全に関わってきた共通点があり、とても話が合うという。コンビでの講演歴も少なくない。

Security Days Fall 2021 東京
10月6日(水) 10:25-11:05
業界30年のコンピューター専門家、2人が専門的なIT用語なしで、セキュリティ対策について解説する!!

 今回二人がテーマとするのは、セキュリティという言葉が一人歩きし、製品やサービスが肥大化・複雑化した現在、自分たちは一体何を守っているのかという問題意識だという。

 知財、個人情報、ブランドや株価、そして事業継続など、守る対象はいろいろだが、それらはすべてたったひとつに収斂するというのが加藤氏の考えだ。データである。

 セッションの後半は加藤氏がライフワークのひとつとして取り組む、データ消去の第三者証明サービスとその認証機関ADEC(エーデック)の紹介だ。

 自分のカバンの中に入っているノートパソコンの紛失や、自分の会社の事業所内にある、資産名簿に入っている PC やサーバからの情報漏えいを、あれほど必死に人は防ぐのにも関わらず、減価償却も終わり、PC やサーバがいざ自分の手元を離れた途端、まるで現役を引退した選手でもあるかのように、驚くほど人も企業も無関心に冷淡になる。

 加藤氏はそんな状況にずっと疑問を持ち続けてきた。ワンビ社はリモートワイプという言葉がまだ日本になかった時代にリモートワイプ機能を開発し市場に問うた。最後の最後までデータの安全を見守る稀有な俯瞰的視点を持ち、独創的サービスを提供する。

 PDCA ならともかく、データのライフサイクルという視点でセキュリティを考える視点を持つプレイヤーは稀だ。データ消去の第三者証明サービスと認証機関ADEC の仕組は、大切なデータのいわば選手生命の終わりまで責任をもって見届ける、そんなまなざしを持ったサービスといえる。

 付記しておくが、加藤氏とワンビ社のこの視点の有用性は、図らずも神奈川県のハードディスクの転売事案等で明らかになったことが記憶に新しい。

 すでにデータ消去の第三者証明サービスはヨドバシカメラのスマホ買い取りサービス等に採用されている。ノートPC、デスクトップPC、モバイル端末、ハードディスク、サーバなどからさらに消去証明の範囲を拡大し、各種クラウドサービスのデータ消去の証明書発行サービスの準備も現在進めているという。

 ほとんど考えなくてもわかることだが、SFDC や AWS など「設定を誤ってうっかり公開してしまった事案」がおととしから昨年にかけて大きな話題となったが、数年後には「うっかり消すのを忘れていた事案」があちこちに現れる可能性は高い。

 SASE、EDR、AI 等々、Security Days Fall 2021 は先端技術がひしめくカンファレンスだ。その中で地味ながら、いや地味だからこそ絶対に聞き逃せないセッションが「業界30年のコンピューター専門家、2人が専門的なIT用語なしで、セキュリティ対策について解説する」である。本講演の前段と後段を聞いて、何も心にひっかからない情報システム担当者など一人もいないだろう。

●Security Days Fall 2021 東京
10月6日(水) 10:25-11:05
業界30年のコンピューター専門家、2人が専門的なIT用語なしで、セキュリティ対策について解説する!!

《高橋 潤哉( Junya Takahashi )》

関連記事

この記事の写真

/

特集

PageTop

アクセスランキング

  1. 仕事旅⾏社のサーバに不正アクセス「日本警察が要求に従わない場合データ公開」

    仕事旅⾏社のサーバに不正アクセス「日本警察が要求に従わない場合データ公開」

  2. IPA 基準適合サービスリスト 脆弱性診断サービス 7 社追加

    IPA 基準適合サービスリスト 脆弱性診断サービス 7 社追加

  3. NHK放送センターに不正アクセス、従業者等個人情報漏えいの可能性を完全に否定することは難しい

    NHK放送センターに不正アクセス、従業者等個人情報漏えいの可能性を完全に否定することは難しい

  4. SB C&S運営の事業者向けECサイト「Mobile Solution Market」に不正アクセス

    SB C&S運営の事業者向けECサイト「Mobile Solution Market」に不正アクセス

  5. JR西日本グループの山陽SC開発のメールアカウントに不正アクセス、迷惑メール送信踏み台に

    JR西日本グループの山陽SC開発のメールアカウントに不正アクセス、迷惑メール送信踏み台に

  6. メガネスーパー運営企業の個人情報、法律上無効の可能性がある契約に基づき譲渡された店舗の POS 端末で検索した形跡

    メガネスーパー運営企業の個人情報、法律上無効の可能性がある契約に基づき譲渡された店舗の POS 端末で検索した形跡

  7. 日経BPを騙ったフィッシングメールに注意を呼びかけ

    日経BPを騙ったフィッシングメールに注意を呼びかけ

  8. NICTの業務委託先 TBSグロウディアでノートPC紛失

    NICTの業務委託先 TBSグロウディアでノートPC紛失

  9. 広告からサポート詐欺へ遷移、手口分析レポート公開

    広告からサポート詐欺へ遷移、手口分析レポート公開

  10. カスペルスキーと静岡大学、シニア向けセキュリティ啓発教材を登録不要で無償提供

    カスペルスキーと静岡大学、シニア向けセキュリティ啓発教材を登録不要で無償提供

ランキングをもっと見る