北京オリンピック公式アプリの“脆弱性”?/Gが利用者欺き位置情報記録/ウクライナへのワイパー型マルウェア攻撃 ほか [Scan PREMIUM Monthly Executive Summary] | ScanNetSecurity
2024.04.20(土)

北京オリンピック公式アプリの“脆弱性”?/Gが利用者欺き位置情報記録/ウクライナへのワイパー型マルウェア攻撃 ほか [Scan PREMIUM Monthly Executive Summary]

北京冬季オリンピックの開催前ということもあり、同大会の公式アプリ「 MY2022 」の脆弱性やプライバシーにおける問題が取り沙汰されており、新疆ウイグルやチベットなどの国内問題や中国政府への非難などの政治的な話題が検閲対象との見方が強いです。

脆弱性と脅威 脅威動向
‎My 2022 on the App Store(https://apps.apple.com/nz/app/my2022/id1548453616)
‎My 2022 on the App Store(https://apps.apple.com/nz/app/my2022/id1548453616) 全 1 枚 拡大写真

 大企業やグローバル企業、金融、社会インフラ、中央官公庁、ITプラットフォーマなどの組織で、情報システム部門や CSIRT、SOC、経営企画部門などで現場の運用管理や、各種責任者、事業部長、執行役員、取締役、またはセキュリティコンサルタントやリサーチャーに向けて、毎月第一営業日前後をめどに、前月に起こったセキュリティ重要事象のふり返りを行う際の参考資料として活用いただくことを目的に、株式会社サイント 代表取締役 兼 脅威分析統括責任者 岩井 博樹 氏の分析による「 Scan PREMIUM Monthly Executive Summary」をお届けします。※「●」印は特に重要な事象につけられています。

>> Scan PREMIUM Monthly Executive Summary 執筆者に聞く内容と執筆方針

【1】前月総括

 国内では NEC のグループ企業である日本航空電子工業や、化学製品で知られるダイセル社などが不正アクセスを発表しました。一方、海外ではウクライナ情勢に関連すると推察されるサイバー攻撃が報じられ、ウクライナ政府はロシアによるハイブリッド戦争であると公式に発表するなど、年始からサイバー空間は活発な動きを見せています。

 特に、国内の侵害ケースは、中国が 5 ヵ年計画の素案( 2019 年)から重点産業分野に指定している分野であり、情報窃取だけに留まらず、同国の人材獲得プログラムの対象となることが予想されていたことは、経営層を含め重々承知していたはずなだけに残念な発表でした。

 また、北京冬季オリンピックの開催前ということもあり、同大会の公式アプリ「 MY2022 」の脆弱性やプライバシーにおける問題が取り沙汰されており、新疆ウイグルやチベットなどの国内問題や中国政府への非難などの政治的な話題が検閲対象との見方が強いです。

 その他、北京冬季オリンピックに関連したサイバー攻撃は、水面下で話題になっていますが、組織委員会やスタッフなどを標的とした可能性のあるマルウェアの検体が確認されています。この攻撃は、中国国内からの攻撃であったと推察され、反習近平派勢力との関係性が伺えます。これらから勘案しますと、本大会は国外だけではなく、国内においても政治的な関心度の高い大会であり、その影響はサイバー領域にも波及していると推察されます。

 比較的、大きな話題となったのは、悪名高いランサムギャング「 REvil 」のメンバーが、ロシア連邦保安庁( FSB )により摘発、ではないでしょうか。同庁は、25 ヶ所の住所(アジト?)を捜索し、メンバー 14 名を拘束しました。まさに映画の世界ですが、これはアンダーグラウンド市場の一端でしかないことは言うまでありません。

 最後に、米国のワシントン州や一部の州が、Google がデバイスの追跡機能を無効に出来ると見せかけ、実際にはユーザの位置情報を記録していたとして同社を提訴しています。「やっぱりね」と思ったユーザも多いかと思いますが、モバイルデバイスと紐付くサービスは、このようなプライバシーリスクも念頭に置きつつ利用しなければならないことを改めて考えさせられる一件です。


《株式会社 サイント 代表取締役 兼 脅威分析統括責任者 岩井 博樹》

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