サイレントクーデター 超限政変 第29回「作戦開始」 | ScanNetSecurity
2026.08.23(日)

サイレントクーデター 超限政変 第29回「作戦開始」

なんだかおおげさだなと思ったが、それは決しておおげさではなかったことは作戦開始とともにすぐにわかった。

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サイレントクーデター 超限政変:工藤伸治のセキュリティ事件簿 外伝(イラスト:SRBGENk )
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 オレは冬野に渡された資料をもとに準備を始めた。大量のSNSアカウントを同時に操作するツールの使い方が書いてある。噂には聞いていたしツールを使うヤツを相手にしたことはあるが、自分で実物を使うのは初めてだ。中身はいたって簡単なものだ。冬野があらかじめサーバー上のデータベースに登録しておいてくれたアカウントにツールを接続する。次に発言するアカウントを指定して、発言内容を書き込み、残りのアカウントに拡散やコメントを指示する。アカウントはグループ分けされていて、グループごとに「ポジティブなコメントをつけて拡散」「単純に拡散」などいくつかの指示を出せる。

 「ポジティブな拡散」という指示を与えると、アカウントの設定に合わせたコメントを自動生成する。といっても、「ほんとにそう」とか「共感した!」といった単純なものだが。実行すると一度にオレの管理する数百万のアカウントが動き出す。

 時間設定もできて、何度も同じ内容で拡散を繰り返すことも可能だし、あらかじめいくつか発言内容を登録しておくこともできる。夏神に言わせると、できれば人工知能で発言を自動生成して広めたいそうだが、そこまでの技術力はないようだ。

 この手の武器は全く実感がわかない。これまでいろいろなツールを使ったことがあるが、ちょっとした操作ではるか遠くの会社や人間が被害に遭うなんてテレビドラマくらいに他人事だ。これから使うツールだって、直接操作するアカウントは生身の人間ではないが、それを見るヤツや便乗するヤツは普通に生きてる連中だ。中にはこれが原因でアカウントを凍結されたり、炎上してさらされたりするヤツもいるだろう。間違ってブラックゲーム社から狙われないとも限らない。考えれば考えるほど、巻き込んだ連中の被害が頭に浮かんで来る。だが、全く実感のない絵空事にしか思えない。

《一田 和樹》

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