Microsoft Defender に擬装しマルウェアを歓迎する攻撃ツール | ScanNetSecurity
2024.06.01(土)

Microsoft Defender に擬装しマルウェアを歓迎する攻撃ツール

 かくしてシグネチャファイルを書き換えるツール、Defender Pretender(wd-pretender.exe)が完成した。Defender Pretender は、マルウェアやスパイウェアのブラックリスト、ホワイトリストを制御できる。つまり偽の Defender が正規の Defender をバイパスできることになる。攻撃者はシステムの保護機能に煩わされることなく、マルウェアをインストールすることができる。

研修・セミナー・カンファレンス セミナー・イベント
Microsoft Defender に擬装しマルウェアを歓迎する攻撃ツール(画像はイメージ)
Microsoft Defender に擬装しマルウェアを歓迎する攻撃ツール(画像はイメージ) 全 6 枚 拡大写真

 Microsoft Defender は下手なサードパーティセキュリティソフトより優秀だ。専門家の中でも市販あるいはバンドルされるセキュリティソフトを利用せず Defender のみで PC を利用している人がいる。

 もっとも、そうなったのは、Windows OS の高機能化も一因である。リソース保護機能やセキュリティ強化に伴い、サードパーティ製のソフトウェアがファイルシステム等の内部機能にアクセスすることが難しくなっている現状がある。ファイアウォールやアンチウイルスのような基本的なセキュリティソフトは、より OS に近いレイヤで機能させたほうが合理的である。

 セキュリティベンダーにとっては競争原理が働きにくくなるが、Microsoft Defender の実装方針は理にかなっている。業務上の制約や規則がないかぎり、安易に無効化すべきではない。

 だが、Defender は本当に信頼できるソフトウェアなのだろうか?

● 2012 年に悪用された当時の Defender の脆弱性

 その一例を示すツールが 2023 年の Black Hat USA 2023(ラスベガス)で公開された。発表者は SafeBreachLABS の Tomer Bar 氏と Omer Attias 氏。SafeBreach は Black Hat USA で 10 回ほど発表を行っており、Bar 氏も23 年の Black Hat、DEFCON などで複数の発表を行っている。Attias 氏は、サイバーセキュリティでは 6 年のキャリアながら、OS やアセンブラなど低レイヤの技術に長けている。今回のツールを実現した脆弱性は、彼の OS レベルでの Defender の解析による。

 このセッションでは、Defender のアップデートプロセスの紹介を行い、次にそのプロセスに潜む脆弱性を解説する。そして、攻撃をどのように実現したかの技術を紹介した。そして最後に、開発した「Defenderのフリをする」ツール「Windows Defender Pretender(wd-pretender.exe)」を使った 3 つの攻撃デモを披露した。


《中尾 真二( Shinji Nakao )》

この記事の写真

/

特集

関連記事

PageTop

アクセスランキング

  1. メール誤送信事故多発で悪名高いドッペルゲンガードメイン「gmai.com」はどこの誰が保有しているのか?

    メール誤送信事故多発で悪名高いドッペルゲンガードメイン「gmai.com」はどこの誰が保有しているのか?

  2. 総務省、ガイドライン活用のための「クラウドの設定ミス対策ガイドブック」公開

    総務省、ガイドライン活用のための「クラウドの設定ミス対策ガイドブック」公開

  3. 「積水ハウス Net オーナーズクラブ」にサイバー攻撃、現在は運用していないページのセキュリティ設定に不備

    「積水ハウス Net オーナーズクラブ」にサイバー攻撃、現在は運用していないページのセキュリティ設定に不備

  4. 社内用ポータルサイトを誤って公開、最大 約 42,400 名の顧客の個人情報がアクセス可能に

    社内用ポータルサイトを誤って公開、最大 約 42,400 名の顧客の個人情報がアクセス可能に

  5. こころネットへの不正アクセス、個人情報が外部に流出した可能性を完全に払拭できないとの判断に

    こころネットへの不正アクセス、個人情報が外部に流出した可能性を完全に払拭できないとの判断に

ランキングをもっと見る
PageTop