英国国家犯罪対策庁(NCA)は、重大組織犯罪に関して米国の連邦捜査局(FBI)の 3 倍近く効率が低いとシンクタンクに評価されたことに対し、反論した。
NCA の広報担当者は、今回の「Social Market Foundation」による報告書は警察官数あたりの逮捕者数を「粗く」計算した方法に基づいていると指摘し「これは信頼できる比較方法ではない」としている。
「逮捕者数だけでは、影響力を測る上で信頼性のある指標とはならない。また、NCA と FBI はどちらも国家法執行機関だが、その管轄は大きく異なっている」と広報担当者は付け加えた。
FBI は NCA よりも管轄する範囲が広い。NCA とは異なり、FBI は殺人や武装強盗といった犯罪の捜査に加えてテロ対策も主導しているが、これらは NCA にとっては管轄外となる。
しかし今回 Social Market Foundation は「粗い指標」を使った比較を行い、NCA の警察官が FBI と同等の逮捕実績を上げていたとすれば、2023 年から 2024 年にかけてさらに 1,900 件の逮捕を増やすことが可能だったと指摘している。
報告書には、「逮捕者数は粗い指標ではあるが、特に比較の根拠となる他のデータが不足している場合は、法執行機関の有効性を比較評価する上で有用な指標である」と書かれている。

この報告書は決して NCA への批判ではなく、NCA の管轄に深く関わっている重大組織犯罪(SOC:Serious and Organised Crime)に対する、英国政府の取り組みを厳しく批判するものだ。
とはいえ、英国政府の重大組織犯罪の成果に対する批判は、必然的にその実施責任機関に対する批判に繋がり、英国の弱点の多くは NCA に存在していたと報告されている。