【マンスリーレポート 2003/03】Fortnight、Deloder、Backdoor.Dvldrが増加傾向に
■ウイルス月次レポート
製品・サービス・業界動向
業界動向
ランキング ウイルス名 届出・被害件数
一位 WORM_Klez 1,735件
二位 REDLOF.A 620件
三位 WORM_Bugbear 287件
四位 JS_FORTNIGHT 229件
五位 WORM_Opaserv 186件
Trend Micro Symantec IPA 日本 Network ソフォス
Associates
WORM_Klez WORM_Klez WORM_Klez WORM_Klez WORM_Klez
406件 394件 490件 445件 15.3%
REDLOF.A IRC Trojan W32/Sobig JS_FORTNIGHT W32/Avril
301件 173件 111件 165件 5.8%
WORM_Bugbear REDLOF.A WORM_Bugbear REDLOF.A W32/Yaha
208件 169件 61件 150件 5.4%
WORM_Opaserv Dvldr W32/Yaha Laroux W32/Gibe-D
123件 123件 51件 111件 4.4%
WORM_Deloder WORM_Deloder WORM_Opaserv JS/NoClose WORM_Bugbear
83件 76件 42件 99件 2.2%
>> 先月、先々月と同様の推移。共有機能を悪用される被害も急増
ウイルス情報系の各社が、2003年3月度のウイルス届出・被害状況を発表した。表は各社の結果をまとめたものである。トレンドマイクロ、シマンテックは「被害件数」、IPAは「届出件数」、日本ネットワーク・アソシエイツのウイルスランキングは「届出」および「感染」の報告件数である。ソフォスの数値は全世界のもので、順位は被害件数ではなく全体に占める割合となっている。また、複数の亜種が存在する場合でも、ウイルスの名称ごとに件数や割合を合計している。
3月度の届出、被害状況は相変わらずKlez、Redlof、Bugbearがベストスリーという結果になった。ただし、5位までの届出、被害件数の合計は3,057件と先月よりもやや増加したことになる。3月中旬から米英のイラク攻撃が開始され、多くのサイトが戦争に関連した内容で改竄を受けた。ウイルスにおいてもイラク戦争に反対するメッセージを表示するものが数種類発生したが、幸いにも大きな被害には発展しなかった。
先月と比較して被害件数が増加傾向にあるウイルスには、Fortnight、Deloder、Backdoor.Dvldrが挙げられる。Fortnightは、Outlookの署名に不正なHTMLファイルを挿入するという新たな手法で感染を拡げるワームだ。メールの大量送信が行われるワームは感染に気づきやすいが、ワームが署名に潜んでいるため感染に気づきにくい。ただし、Fortnightはブラウザが最初に表示するホームページを変更したり、お気に入りにサイトを追加するため、設定した覚えがないのにこのような症状があったら要注意だ。
DeloderはTCP445番のポートを使ってPCに接続しようとするワームで、接続すると多くの悪意ある動作を行う。感染するのはWindows 2000とXPのみで、Windows 9x系などには影響がない。これはWindows 2000、XPにはIISというホスト機能が用意されているためだ。Windows XP Home EditionにはIISが装備されていないが、共有機能に影響がある。IISはサーバで使用される機能だが、ブロードバンドでの常時接続環境が一般的になったため、FTPサーバやWebサーバを個人で公開するといった使い方もある。絶えず最新のセキュリティパッチを適用し、対策を行っておきたい。
Backdoor.DvldrはDeloderがドロップするトロイの木馬だ。ただし、亜種によってはフリーのリモートコントロールツールであるPsExecを使用する場合もある。Backdoor.DvldrはWindowsのレジストリキーを改変し、攻撃者が感染PCにリモートから侵入するための操作を行う。この際に悪用されるのがIRCである。IRCはチャットソフトだが、Backdoor.DvldrはIRCを利用して攻撃者からのコマンドを待機し、攻撃者はIRC経由でコマンドを送信することによって感染PCを自由に操る準備を行う。これまでウイルスと不正アクセスは別のものという認識が強かったが、ウイルスを利用して不正アクセスを行うというケースが増えてきている。
Deloderのように、チャットソフトを利用して感染を拡げるウイルスも目立つようになってきた。IRCなどのチャットソフトやP2Pソフト、インスタントメッセンジャーソフトは、ファイルの送受信を行ったり共有する機能が用意されている。ウイルスはこのような機能を悪用して自身のコピーを送信したり共有フォルダにアップする。ファイルの共有は便利な機能だが、実際のファイルのやり取りは注意して行いたい。
【執筆:吉澤亨史】
(詳しくはScan Daily Expressをご覧ください)
http://shop.vagabond.co.jp/m-sdx01.shtml
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