CISOの相談室 第13回 無線LANのセキュリティについて教えて下さい【前編】
煩わしい配線も要らず便利な無線LANですが、目に見えない電波を利用しているため、同じビル内でのただ乗りやデータ盗聴などのセキュリティ面が心配です。悪用されていないかどうか確かめる方法を教えて下さい。法人が無線LANの導入時に気をつけることは何でしょうか。
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●無線LANの何が危ないのか?
オフィス街や住宅街で、無線LAN機器の付いたノートブックを持ち歩いてみると、沢山のアクセスポイントを見つけることができ驚かされます。無線LANは一度接続できてしまうと、それ以降は有線LANと同じ様に利用できるのです。つまり、インターネットに接続することや、フォルダやファイルを共有して読み書きすること、またLANに接続されているプリンタから印刷することだってできてしまいます。無線LANに十分なセキュリティ機能や設定が施されていない場合、悪意のある第三者に無線LANを使用されると、以下のような被害が想定されます。
・無線LAN環境に侵入され、重要な情報を盗まれる
・無線LAN環境を無断で利用される
・通信データを盗聴される
●無線LANの不正利用や悪用は簡単には見つけられない!
電波を傍受することで、盗聴器や盗撮器を見つけることはできても、社員以外の人間が会社の無線LANを利用しているかを判断することや、その使い方が正規なのか悪用なのかなどを技術的に判断することは難しいことです。ただし、パケットキャプチャソフトを利用して、自社内のMACアドレスやIPアドレス以外からの接続を調べることで、第三者が無線LANに接続しているかどうかを知ることはできます。
パケットキャプチャソフトを使って実際にパケットを取り込んで監視するためには、LANを流れるパケットをコピーしてパケットキャプチャソフトを使用するPCに届くように事前準備しなければなりません。そのためには、使用している無線LANのブロードバンドルータより上流(インターネット側)で監視しなければ意味がありません。パケットをキャプチャするための方法には、
(1)リピータハブの使用
(2)LANスイッチのミラーリング機能の使用
(3)タップの使用
の3種類があります。リピータハブは簡単で安価だが速度が遅い、ミラーリング機能はパケットの取りこぼしがある、また、タップはパケットの取りこぼしが無いが高価など、それぞれに長所短所があるので、無線LAN環境に合わせて機材とソフトウェアを準備する必要があります。また、この様に有線上で調べる方法以外に、無線LANカードを装着したPCから、空中を飛んでいる無線LANのパケットを直接収集する無線LAN専用のパケットキャプチャソフトもあります。
お気付きのように、無線LANに接続している悪意のある第三者もまた「盗聴」目的でパケットキャプチャソフトを利用しています。無線LANの通信には、メールの内容など様々な機密情報や、セキュリティ上重要なシステム情報が飛び交っています。万一、IDやパスワードが盗聴された場合は、今後はターゲットの無線LANやパケットキャプチャソフトを利用しなくても、他のネットワークからインターネットに接続して、盗られたIDとパスワードを利用して、堂々と目的のネットワークにログインされたり、メールを盗み見られたり、なりすましメールを出されてしまう危険性があります。
そこで、無線LANの悪用を調べる一つの手段として…
【執筆:せきゅバカ一代】
<執筆者略歴>
セキュリティ業界で15年。
現在は某セキュリティ会社の社長を勤める。
自ら世界中を駆け巡って新技術を収集している。
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