ISC DHCP のクライアント識別子処理に起因するシステムリソース消費の脆弱性(Scan Tech Report) | ScanNetSecurity
2024.05.18(土)

ISC DHCP のクライアント識別子処理に起因するシステムリソース消費の脆弱性(Scan Tech Report)

ISC DHCP には、特定のクライアント識別子を含む DHCP メッセージを処理した場合に、サービス運用妨害 (DoS) が発生する脆弱性が存在します。

脆弱性と脅威 エクスプロイト
1.概要
ISC DHCP には、特定のクライアント識別子を含む DHCP メッセージを処理した場合に、サービス運用妨害 (DoS) が発生する脆弱性が存在します。
DHCP サービスを利用する悪意あるユーザに利用された場合、CPU リソースを大量消費させ、DHCP サーバまたはシステムの正常な動作を妨害する可能性があります。
脆弱性を悪用された場合の影響度が高いため、影響を受けるバージョンの ISC DHCP を利用するユーザは可能な限り以下の対策を実施することを推奨します。


2.深刻度(CVSS)
6.1
http://nvd.nist.gov/cvss.cfm?version=2&name=CVE-2012-3571&vector=%28AV%3AA/AC%3AL/Au%3AN/C%3AN/I%3AN/A%3AC%29


3.影響を受けるソフトウェア ※
ISC DHCP 4.1.2-P1 以前 ※1
ISC DHCP 4.1-ESV-R5 以前
ISC DHCP 4.2.4 以前

※1 ISC DHCP 4.1.x は、既に 2011/1 でサポート終了となっています。また、同様にサポートが終了している DHCP 3.0.x/4.0.x においては、この脆弱性の影響を受けるか、未検証であることが、isc.org より報告されています。
※2 影響を受けるバージョンの ISC DHCP パッケージが含まれる、Linux ディストリビューションにおいても、この脆弱性の影響を受ける可能性があります。


4.解説
ISC DHCP には、DHCPv4/DHCPv6 メッセージに含まれるクライアント識別子の取り扱いに不備があるため、クライアント識別子長が 0 の当該メッセージを処理した場合、dhcpd が無限ループに陥り、大量の CPU リソースを消費してしまう脆弱性が存在します。

この脆弱性を利用することで DHCP サービスを利用可能な攻撃者は、dhcpd が稼動するシステムのパフォーマンスを低下させ、DHCP サービスまたはシステムをサービス不能状態にする可能性があります。

なお、既にサポートが終了している DHCP 4.1.0 - 4.1.1-P1 において、この脆弱性が悪用された場合、dhcpd が無限ループに陥いるのではなく、異常終了してしまう可能性があることが、isc.org より報告されています。


5.対策
以下の Web サイトより DHCP 4.1-ESV-R6/4.2.4-P1 以降を入手しアップデート
することで、この脆弱性を解消することが可能です。

DHCP 4.1-ESV-R6/4.2.4-P1
https://www.isc.org/software/dhcp

DHCP 4.1-ESV-R6 Release Notes
https://kb.isc.org/article/AA-00735/0/DHCP-4.1-ESV-R6-Release-Notes.html
DHCP 4.2.4-P1 Release Notes
https://kb.isc.org/article/AA-00736/0/DHCP-4.2.4-P1-Release-Notes.html


6.ソースコード
(Web非公開)

(執筆:株式会社ラック サイバー脅威分析センター

※Web非公開該当コンテンツ閲覧をご希望の方はScan Tech Reportにご登録(有料)下さい。

Scan Tech Report
http://scan.netsecurity.ne.jp/archives/51916302.html

《吉澤 亨史( Kouji Yoshizawa )》

関連記事

特集

PageTop

アクセスランキング

  1. ゆめタウン運営イズミへのランサムウェア攻撃、VPN 装置から侵入

    ゆめタウン運営イズミへのランサムウェア攻撃、VPN 装置から侵入

  2. 範を示す ~ MITRE がサイバー攻撃被害公表

    範を示す ~ MITRE がサイバー攻撃被害公表

  3. 東急のネットワークに不正アクセス、連結子会社のファイルサーバでデータ読み出される

    東急のネットワークに不正アクセス、連結子会社のファイルサーバでデータ読み出される

  4. 個人情報漏えいの疑いも ~ 八尾市立斎場職員が加重収賄罪ほかの容疑で逮捕

    個人情報漏えいの疑いも ~ 八尾市立斎場職員が加重収賄罪ほかの容疑で逮捕

  5. 検診車で実施した胸部レントゲン検診が対象、川口市の集団検診業務委託先へランサムウェア攻撃

    検診車で実施した胸部レントゲン検診が対象、川口市の集団検診業務委託先へランサムウェア攻撃

  6. 認証とID管理にガバナンスを ~ NTTデータ先端技術「VANADIS」で実現する「IGA(Identity Governance and Administration)」とは

    認証とID管理にガバナンスを ~ NTTデータ先端技術「VANADIS」で実現する「IGA(Identity Governance and Administration)」とはPR

  7. 脆弱性管理クラウド「yamory」SBOM 機能に関する特許取得

    脆弱性管理クラウド「yamory」SBOM 機能に関する特許取得

  8. ランサムウェア被害の原因はスターティア社の UTM テストアカウント削除忘れ

    ランサムウェア被害の原因はスターティア社の UTM テストアカウント削除忘れ

  9. 「マルカワみそ公式サイト」に不正アクセス、カード情報に加えログイン用パスワードも漏えい

    「マルカワみそ公式サイト」に不正アクセス、カード情報に加えログイン用パスワードも漏えい

  10. スマートフォンアプリ「OfferBox」に秘密鍵がハードコードされている問題

    スマートフォンアプリ「OfferBox」に秘密鍵がハードコードされている問題

ランキングをもっと見る