chkrootkit の slapper() 関数の実装に起因する権限昇格の脆弱性(Scan Tech Report) | ScanNetSecurity
2024.04.28(日)

chkrootkit の slapper() 関数の実装に起因する権限昇格の脆弱性(Scan Tech Report)

chkrootkit には、slapper() 関数の実装に起因して、権限昇格が可能な脆弱性が存在します。

脆弱性と脅威 エクスプロイト
1.概要
chkrootkit には、slapper() 関数の実装に起因して、権限昇格が可能な脆弱性が存在します。
システムにアクセス可能なローカルの悪意あるユーザに利用された場合、root 権限を取得され、システムを完全に制御される可能性があります。
脆弱性を悪用された場合の影響度が高いため、影響を受けるバージョンの chkrootkit を利用するユーザは可能な限り以下の対策を実施することを推奨します。


2.深刻度(CVSS)
CVE-ID 未割り当てのため、現状なし


3.影響を受けるソフトウェア
chkrootkit 0.49 以前

※1 影響を受けるバージョンの chkrootkit パッケージが含まれる Debian,Ubuntu などの Linux ディストリビューションにおいても、この脆弱性の影響を受けます


4.解説
chkrootkit は、SuckIT や Slapper※2 などの rootkit がシステムに組み込まれていないかチェックするためのツールであり、通常は root ユーザで実行されます。

chkrootkit には、Slapper ワームのチェックを行う slapper() 関数の実装に不備があります。
このため、chkrootkit 実行時に、/tmp ディレクトリ下にある update (/tmp/update) や httpd (/tmp/httpd) などの特定のファイルを root 権限で実行してしまう脆弱性が存在します。

この脆弱性を利用することでシステムにアクセス可能なローカルの攻撃者は、root に権限昇格を行い、当該権限で任意のコマンドが実行可能となります。

但し、/tmp ディレクトリを noexec オプション (バイナリの実行禁止) を指定してマウントする環境は、この脆弱性の影響を受けません。

※2 OpenSSL の脆弱性 (CVE-2002-0656) を悪用して、Apache HTTP Server に感染を拡大させるワームであり、/tmp ディレクトリ下に自身のコピーを作成します。


5.対策
以下の Web サイトより、chkrootkit 0.50 以降を入手しアップデートするこ
とで、この脆弱性を解消することが可能です。

chkrootkit 0.50:
http://www.chkrootkit.org/download/

また、Linux ディストリビューションにおいては、それぞれのベンダが提供す
るセキュリティアドバイザリを参考に、適切な chkrootkit パッケージを入手
しアップデートすることで、この脆弱性を解消することが可能です。

・Debian
CVE-2014-0476
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2014-0476

・Fedora
chkrootkit-security update
https://admin.fedoraproject.org/updates/chkrootkit-0.49-9.fc19
https://admin.fedoraproject.org/updates/chkrootkit-0.49-9.fc20

・Ubuntu
CVE-2014-0476
http://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2014/CVE-2014-0476.html


6.ソースコード
(Web非公開)

(執筆:株式会社ラック サイバー・グリッド研究所

※Web非公開該当コンテンツ閲覧をご希望の方はScan Tech Reportにご登録(有料)下さい。

Scan Tech Report
http://scan.netsecurity.ne.jp/archives/51916302.html

《株式会社ラック デジタルペンテスト部》

関連記事

特集

PageTop

アクセスランキング

  1. 今日もどこかで情報漏えい 第23回「2024年3月の情報漏えい」なめるなという決意 ここまでやるという矜恃

    今日もどこかで情報漏えい 第23回「2024年3月の情報漏えい」なめるなという決意 ここまでやるという矜恃

  2. 雨庵 金沢で利用している Expedia 社の宿泊予約情報管理システムに不正アクセス、フィッシングサイトへ誘導するメッセージ送信

    雨庵 金沢で利用している Expedia 社の宿泊予約情報管理システムに不正アクセス、フィッシングサイトへ誘導するメッセージ送信

  3. セトレならまちで利用している Expedia 社の宿泊予約情報管理システムに不正アクセス、フィッシングサイトへ誘導するメッセージ送信

    セトレならまちで利用している Expedia 社の宿泊予約情報管理システムに不正アクセス、フィッシングサイトへ誘導するメッセージ送信

  4. 重い 高い 検索も使いにくいメールを企業の 6 割が使う理由

    重い 高い 検索も使いにくいメールを企業の 6 割が使う理由

  5. スペシャリスト集結! マネーフォワード・ラック・富士ソフト・電通総研から学ぶ、脆弱性診断内製化の成功法則とは? AeyeScan 導入企業との公開対談

    スペシャリスト集結! マネーフォワード・ラック・富士ソフト・電通総研から学ぶ、脆弱性診断内製化の成功法則とは? AeyeScan 導入企業との公開対談PR

  6. RoamWiFi R10 に複数の脆弱性

    RoamWiFi R10 に複数の脆弱性

  7. 富士通の複数の業務パソコンにマルウェア、個人情報を含むファイルを不正に持ち出せる状態に

    富士通の複数の業務パソコンにマルウェア、個人情報を含むファイルを不正に持ち出せる状態に

  8. 札幌で「CSIRT のはじめ方」ワークショップ 5/16 開催、北海道在勤在住者は参加費 5 万円が無料

    札幌で「CSIRT のはじめ方」ワークショップ 5/16 開催、北海道在勤在住者は参加費 5 万円が無料

  9. LINEヤフー委託先への不正アクセス、報告書を受け 2 度目の行政指導

    LINEヤフー委託先への不正アクセス、報告書を受け 2 度目の行政指導

  10. 2024年第1四半期 IPA 情報セキュリティ安心相談窓口の相談状況、サポート詐欺被害時の漏えい可能性判断ポイントほか

    2024年第1四半期 IPA 情報セキュリティ安心相談窓口の相談状況、サポート詐欺被害時の漏えい可能性判断ポイントほか

ランキングをもっと見る