[CEDEC 2014 レポート]リバースエンジニアリングを防止、正当な利益を得られるタイトルに(ARXAN) | ScanNetSecurity
2026.01.12(月)

[CEDEC 2014 レポート]リバースエンジニアリングを防止、正当な利益を得られるタイトルに(ARXAN)

日本最大のゲーム開発者向けカンファレンスであるCEDEC 2014。今年は9月2日(火)から4日(木)にかけてパシフィコ横浜で開催され、多くのゲームデベロッパーが集まった。

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アークサン・テクノロジー合同会社 代表執行役社長 山田聡氏
アークサン・テクノロジー合同会社 代表執行役社長 山田聡氏 全 3 枚 拡大写真
日本最大のゲーム開発者向けカンファレンスであるCEDEC 2014。今年は9月2日(火)から4日(木)にかけてパシフィコ横浜で開催され、多くのゲームデベロッパーが集まった。

パートナー企業であるバーチャルコミュニケーションズ株式会社と共にCEDECブースに出展し、来場者向けのセミナーも行っていたアークサン・テクノロジー合同会社。「難読化」や「暗号化」などの技術によって、ソフトウェアのリバースエンジニアリングを防ぐソリューションを提供している企業だ。その堅牢な保護機能は米国防総省(ペンタゴン)がルーツとなっている。今回は同社の代表執行役社長である山田聡氏に話を聞いた。


――まずはアークサンという会社について教えてください

――山田氏
当社は2001年の設立後、2007年までペンタゴンだけにソフトウェアとサービスを提供していたセキュリティソリューションベンダです。創業のきっかけは、2001年に発生した「海南島事件」です。この事件は、中国に米国の軍用機が緊急着陸後にソフトウェアをリバースエンジニアリングされ、軍事上の機密情報や偵察用をはじめとするソフトウェアそのものが流出したというものです。

ペンタゴンでは、「米国の国家機密をどのように守るか」というテーマが持ち上がりました。人が直接守るのではなく、ソフトウェアの中にそのような機能を組み込んで運用する。当社はそれを実現するためにだけに設立されました。

――採用実績は

――山田氏
2007年からは一般企業向けに提供をはじめ、まずはソフトメーカーが大手の顧客になりました。たとえばワールドワイドでソフトウエアを提供している企業が顧客になりました。

ゲーム関連の企業も多く、日本では株式会社スクウェア・エニックスの「ドラゴンクエストX」に採用されています。海外のゲーム企業では売上高トップ10の上位から7社以上が採用しています。

――ゲームに対するクラッキングはどのように行われるのでしょうか

――山田氏
さまざまな手法がありますが、大きくは2つの段階に分かれています。第一段階として、対象となるアプリやゲームの解析、解読を徹底的に行います。そして解析が完了した時点で第二段階に移ります。ここで初めて攻撃手法を決定します。どういう攻撃をどこにするか、どこのコードをどう改変してクラッキングするか。そしてそのクラッキング行為を行った成果として不正な利益を得るわけです。

――具体的なクラッキング内容について教えてください

――山田氏
例をひとつ挙げると、敵と戦うタイプの携帯電話向けネットワークゲームでは、自分のプレイヤーの情報や敵の強さの情報がサーバからクライアントに送られて、そこで対戦が行われて結果をサーバに返すという流れになります。ここでサーバとクライアントの間でチートツールを動作させてパケットの中身を書き換えるというものがあります。たとえば自分の攻撃力を9999に変更して対戦する。当然、勝利しますよね。その際にボーナスをつけることもできます。

もちろん、不正な改変がされていないかというチェックは、サーバとクライアントの両方でしています。しかし、クライアントを解析することで、どういうチェックをしているか、どういう暗号化をしているかが解析されてしまうのです。そうすると、暗号化されたパケットをどう改造すればいいか、再び暗号化するにはどうしたらいいか、チェックを回避するにはどうすればいいかといったことが、すべてクラッカーにわかってしまいます。

――従来と比べて手法に変化は

――山田氏
スタンドアロンとオンラインという点では、大きく手法が変わりました。CDなどオフラインでゲームソフトが提供され、PCやゲーム専用機のみのスタンドアロンの環境でプレイされるゲームでは、不正コピーが問題でした。この問題にはコピープロテクト技術で対抗すればよかったのですが、ゲームがオンラインでプレイされるようにになってからは、プログラム改変の影響範囲が非常に大きくなりました。これによりクラッキングがゲーム会社のビジネスモデルを直接的に揺るがしてしまう事態に陥るケースが出てきています。

少し前まではゲーム会社も目を瞑っているところがあったのですが、もはや状況が違います。海外進出した瞬間に狙われてしまうのです。例えば中国や東南アジアのストアでランキング上位に入っているアプリには、日本のメーカーのゲームをそのまま無許可でコピーして、あるいは画像だけ変えて再販売しているものが多数存在しています。

しかも最近ではクラッキングされる方が悪いという風潮があります。ゲーム会社も、クラックされるようなタイトルを作ったゲーム会社が悪いとされてしまい、信用性が低下してしまうのです。被害を受けたことで悪者になってしまうのがこの世界の怖さです。そのため自己防御が非常に重要になります。

――導入企業のビジネスインパクトは

――山田氏
米国の超有名タイトルを提供しているゲーム企業がアークサンを採用しています。この企業では、アークサンを採用することで日本円にして年間30~40億円の損失を取り返すことができました(1ドル100円として換算)。こういった例は他にもたくさんあります。

――今回のイベントの来場者の反応は

――山田氏
基本的にポジティブですね。ただ、世代の差は感じます。わたしたちの時代は、アセンブラをガリガリ書けるようなプログラマーでないとリバースエンジニアリングはできませんでした。しかし今はツールがたくさん出ています。ツールが優秀になっているので、高校生でもリバースエンジニアリングができてしまいます。

プログラミングという観点では、良いツールがたくさんあって非常に便利な時代になりました。でもセキュリティにおいては非常にアントラステッドな環境で、信用できない状況です。悪いことをしようと思えばなんでもできてしまう状況ですから。

――今後の展開について教えてください

――山田氏
クラックされて当たり前という文化を変えたいですね。ゲーム会社だけでなく、ソフトウェアを提供するすべての企業が正当な利益を得られるようにお手伝いをしたいと考えています。

――ありがとうございました

《執筆 吉澤 亨史 / 取材協力 バーチャルコミュニケーションズ株式会社》

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