パスワードのかわりにスマートな生体認証技術で自分自身を認証 | ScanNetSecurity
2024.05.09(木)

パスワードのかわりにスマートな生体認証技術で自分自身を認証

顔認識や音声認識などの生体認証技術を用いた認証決済の試みが、欧米で具体化の動きを見せている。

国際 海外情報
米マスターカードの生体認証決済
米マスターカードの生体認証決済 全 2 枚 拡大写真
 顔認識や音声認識などの生体認証技術を用いた認証決済の試みが、欧米で具体化の動きを見せている。

 クレジットカード大手の米マスターカードは、パスワードのかわりに自撮り写真を使って決済を承認できる新サービスを、今年の夏から北米や欧州で導入する。

 パスワード認証よりも安全性を高めるため、マスターカードの専用アプリをダウンロードし、オンライン・ショッピングの際に自分の顔を自撮りし、本人と認識されると決済が承認される。

 ただし、過去に撮影された写真ではないこと、そしてその場で撮影された写真であることをそれぞれ確認するために、自撮りの際はまばたきをする必要があるという。同社では、顔認識だけでなく、音声認識や、ウェアラブル・リストバンドによる心拍数などの生体認証技術も、決済承認の手段として検証する予定。


 さらに、仏郵便ラポストの銀行子会社ラ・バンク・ポスタルは、インターネット決済に音声認証による本人確認サービス「トーク・トゥ・ペイ」を、今年の夏から導入すると発表した。


 カード決済不正の66.5%が遠隔決済で発生しているフランス。ラ・バンク・ポスタルは、国内のスタートアップ企業と共同で、2012年から音声認識ソリューションの開発を開始。650人(顧客及び従業員)を対象にテストを行い、技術的な信頼性が確認され、個人情報監督機関CNILによる許可を獲得した。

 インターネット上でカード決済の際に、本人の携帯に銀行のサーバから自動的に電話がかかり、確認用の文を発音すると、あらかじめ登録しておいた音声との照合が行われ、本人確認がなされる。その後、本人の携帯またはパソコンに向けて発行される使い捨てパスワードを入力すれば、決済が完了する。

 ラ・バンク・ポスタルは、遠隔決済にハイレベルなセキュリティを提供するばかりでなく、購買プロセスを最適化する利点もある、と強調している。

 通販最大手のアマゾンも、顔認識技術を利用した決済システムの特許を、昨年秋に出願していることが明らかになった。

 「IMAGE ANALYSIS FOR USER AUTHENTICATION(ユーザー認証のための画像解析)」と題する特許は、やはり画像や動画でユーザー認証を行う「自撮り認証」決済を目的とするもの。写真を用いた「なりすまし」対策として、ユーザーはスマイルやウインクなどを行う必要があるが、それ自体楽しめる可能性もある、とする。

 アマゾンはまた、モバイルデバイスの小さなタッチキーボードでパスワードを入力する煩わしさを説明。大文字小文字、数字、記号を複雑に組み合わせたパスワードの入力に四苦八苦するよりも、頭をちょっと傾げたりウインクしながら写真一枚撮るほうがはるかに簡単なのは間違いない。

 申請する特許の技術は、デスクトップ、ラップトップ、スマホやタブレットなど、広範なデバイスで使用することができるため、ほとんどのユーザーが対象となる。さらに、不正対策に限らず、例えば親のパスワードを知っている子どもが隠れてショッピングしてしまうようなケースも、顔認証なら阻止できる。

 マスターカードの安全対策部が断言するように、「消費者はパスワードが大嫌い」。最も一般的なパスワードはいまだに「123456」、ほとんどの人が複数のサイトで同じパスワードを使っているため、どこか一つで盗まれたら終わり。スマホもインターネットもどこでも使えるご時世、スマートな生体認証技術で自分自身を認証すべき時かもしれない。

消費者はパスワードが大嫌い? 自撮り写真の認証決済が欧米で本格化へ

《Glycine@RBB TODAY》

関連記事

この記事の写真

/
PageTop

アクセスランキング

  1. 護衛艦いなづまの艦長、資格のない隊員を特定秘密取扱職員に指名し懲戒処分

    護衛艦いなづまの艦長、資格のない隊員を特定秘密取扱職員に指名し懲戒処分

  2. ランサムウェア被害の原因はスターティア社の UTM テストアカウント削除忘れ

    ランサムウェア被害の原因はスターティア社の UTM テストアカウント削除忘れ

  3. 「意識を高揚させよう」と思い特定秘密の情報を知るべき立場にない隊員に特定秘密の情報を漏らす、懲戒処分に

    「意識を高揚させよう」と思い特定秘密の情報を知るべき立場にない隊員に特定秘密の情報を漏らす、懲戒処分に

  4. 社内不正 1位 情報持ち出し・2位 横領・3位 労働問題 ~ 被害企業 230 社調査

    社内不正 1位 情報持ち出し・2位 横領・3位 労働問題 ~ 被害企業 230 社調査

  5. メディキットホームページに不正アクセス、閲覧障害に

    メディキットホームページに不正アクセス、閲覧障害に

  6. 今日もどこかで情報漏えい 第23回「2024年3月の情報漏えい」なめるなという決意 ここまでやるという矜恃

    今日もどこかで情報漏えい 第23回「2024年3月の情報漏えい」なめるなという決意 ここまでやるという矜恃

  7. 日本は悪意ある内部犯行による漏えいが 12 ヶ国中最小、プルーフポイント「Data Loss Landscape 2024(情報漏えいの全容)」日本語版

    日本は悪意ある内部犯行による漏えいが 12 ヶ国中最小、プルーフポイント「Data Loss Landscape 2024(情報漏えいの全容)」日本語版

  8. Proofpoint Blog 36回「身代金を払わない結果 日本のランサムウェア感染率減少? 感染率と身代金支払率 15 ヶ国調査 2024」

    Proofpoint Blog 36回「身代金を払わない結果 日本のランサムウェア感染率減少? 感染率と身代金支払率 15 ヶ国調査 2024」

  9. セガ フェイブが利用するメールシステムに不正アクセス、フェニックスリゾートが保有する個人情報が流出した可能性

    セガ フェイブが利用するメールシステムに不正アクセス、フェニックスリゾートが保有する個人情報が流出した可能性

  10. 信和へのランサムウェア攻撃で窃取された情報、ロックビット摘発を受けてリークサイトが閉鎖

    信和へのランサムウェア攻撃で窃取された情報、ロックビット摘発を受けてリークサイトが閉鎖

ランキングをもっと見る