書評「Dark Territory」(1) アメリカでサイバー戦が重要課題となるまでの軌跡 2ページ目 | ScanNetSecurity
2026.04.01(水)

書評「Dark Territory」(1) アメリカでサイバー戦が重要課題となるまでの軌跡

一読して、一過性の技術や教育に対する投資の意味がないことがわかる。正確に言えば、しかるべき組織と指導者、そしてビジョンがなければむやみに技術や教育に投資をしても役には立たないということだ。

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書評「Dark Territory」(1) アメリカでサイバー戦が重要課題となるまでの軌跡
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本書の前半ではアメリカの政府中枢部で、サイバー戦の重要性が軽んじられてきたことと、その中での牛歩の歩みなどが語られている。この時期に、先行するロシアや中国からのサイバー攻撃や、実戦さながらの総合演習によっていかにサイバー戦闘能力が脆弱であるかが判明してきた。

中盤では、ふたりの NSA 長官 Hayden と Keith Alexander によって NSA のサイバー戦能力が向上し、それと並行して急速に政府内の組織や態勢が整ってきたことが描かれている。

後半ではそこから現在に至るまでの流れ (スノーデン氏による暴露の影響も含め) などが整理されている。

なぜか我が国では他国の歴史をひもといて、参考にする人がほとんどいないようで (これは皮肉である。サイバー以外の分野では当たり前のように行われている) 、「組織と指導者とビジョン」という不可欠の三要素のないまま投資とかけ声だけが先行している。

すでにアメリカでは、さんざん同じことをやって失敗してきている以上、同じ失敗を繰り返すだけにしか思えないのだが、日本ではそうならない特殊な仕組みでもあるのだろうか?

少なくともここ数年の日本の動きを見ている限りでは、そんな便利なものはなく、かつてアメリカがいいようにやられたように、日本もいいようにやられまくっているようにしか見えない。

では、いまの日本に足りないものはなにか、なにから手をつけるべきかと考えた時、本書はきわめて参考になる。

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《一田 和樹》

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