書評「Dark Territory」(1) アメリカでサイバー戦が重要課題となるまでの軌跡 | ScanNetSecurity
2019.11.19(火)

書評「Dark Territory」(1) アメリカでサイバー戦が重要課題となるまでの軌跡

一読して、一過性の技術や教育に対する投資の意味がないことがわかる。正確に言えば、しかるべき組織と指導者、そしてビジョンがなければむやみに技術や教育に投資をしても役には立たないということだ。

調査・レポート・白書 ブックレビュー
書評「Dark Territory」(1) アメリカでサイバー戦が重要課題となるまでの軌跡
書評「Dark Territory」(1) アメリカでサイバー戦が重要課題となるまでの軌跡 全 1 枚 拡大写真
多くの人はこう考えているだろう。

「アメリカはサイバー戦闘において常に最先端を走っており、世界最新最強のサイバー防御態勢と攻撃力を保有している」

現時点で、それは合っているかもしれない。しかし、少なくともしばらく前まではアメリカは遅れていた。それにはふたつの理由がある。

ひとつは、多くの政治家や官僚がこの問題について正しい認識を持っておらず、従って危機感も薄かったこと。

もうひとつはアメリカが世界有数のネットワーク先進国であり、すでに生活基盤の一部となっていること。依存が高ければ、その分攻撃を受けやすく、受けた時のダメージも大きくなる。それをカバーできるだけの防衛力がなければ無防備でサイバー空間にさらされている状態になる。かつてアメリカはそうだった。そして日本はいまでもそのままだ。

本書、Fred Kaplan 著「Dark Territory: The Secret History of Cyber War」はそのタイトルの通り、アメリカにおけるサイバー戦の扱いがどのように変遷してきたかを記したドキュメントである。技術的な側面や戦史そのものよりも、組織と人に焦点をあてている。

おかげで一読して、一過性の技術や教育に対する投資の意味がないことがわかる。正確に言えば、しかるべき組織と指導者、そしてビジョンがなければむやみに技術や教育に投資をしても役には立たないということだ。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 続きを読む

《一田 和樹》

関連記事

この記事の写真

/
PageTop

特集

アクセスランキング

  1. レイセオン社の「航空」サイバーセキュリティ対策製品と攻撃実証(The Register)

    レイセオン社の「航空」サイバーセキュリティ対策製品と攻撃実証(The Register)

  2. プライベート情報全収集しマネタイズする社会実験応募者へメール誤送信、損害賠償実施予定(Plasma)

    プライベート情報全収集しマネタイズする社会実験応募者へメール誤送信、損害賠償実施予定(Plasma)

  3. フィリピン子会社のPCがEMOTETに感染、アドレス帳が窃取被害(双葉電子工業)

    フィリピン子会社のPCがEMOTETに感染、アドレス帳が窃取被害(双葉電子工業)

  4. 新システム開発の再委託先が不正アクセス、国体参加者と公認スポーツ指導者データが削除(日本スポーツ協会)

    新システム開発の再委託先が不正アクセス、国体参加者と公認スポーツ指導者データが削除(日本スポーツ協会)

  5. 「Windows 7よ永遠に」プログラム書き込み禁止でWindows 7を使い続けられるソフト(電机本舗)

    「Windows 7よ永遠に」プログラム書き込み禁止でWindows 7を使い続けられるソフト(電机本舗)

  6. オムロンの制御システム向けソフトに複数の脆弱性(JVN)

    オムロンの制御システム向けソフトに複数の脆弱性(JVN)

  7. 「ゼロフィット公式オンラインショップ」に不正アクセス、3年半分の決済情報が流出(イオンスポーツ)

    「ゼロフィット公式オンラインショップ」に不正アクセス、3年半分の決済情報が流出(イオンスポーツ)

  8. Windows 7などのサポート終了に対し、現状と支援施策を発表(日本マイクロソフト)

    Windows 7などのサポート終了に対し、現状と支援施策を発表(日本マイクロソフト)

  9. 楽天アプリ「ラクマ」に認証情報が漏えいする脆弱性(JVN)

    楽天アプリ「ラクマ」に認証情報が漏えいする脆弱性(JVN)

  10. 電子カルテ上のデータを目視し入力したファイルを私用のUSBメモリで持ち出し紛失(島根大学)

    電子カルテ上のデータを目視し入力したファイルを私用のUSBメモリで持ち出し紛失(島根大学)

ランキングをもっと見る