書評「Dark Territory」(1) アメリカでサイバー戦が重要課題となるまでの軌跡 | ScanNetSecurity
2021.01.27(水)

書評「Dark Territory」(1) アメリカでサイバー戦が重要課題となるまでの軌跡

一読して、一過性の技術や教育に対する投資の意味がないことがわかる。正確に言えば、しかるべき組織と指導者、そしてビジョンがなければむやみに技術や教育に投資をしても役には立たないということだ。

調査・レポート・白書 ブックレビュー
書評「Dark Territory」(1) アメリカでサイバー戦が重要課題となるまでの軌跡
書評「Dark Territory」(1) アメリカでサイバー戦が重要課題となるまでの軌跡 全 1 枚 拡大写真
多くの人はこう考えているだろう。

「アメリカはサイバー戦闘において常に最先端を走っており、世界最新最強のサイバー防御態勢と攻撃力を保有している」

現時点で、それは合っているかもしれない。しかし、少なくともしばらく前まではアメリカは遅れていた。それにはふたつの理由がある。

ひとつは、多くの政治家や官僚がこの問題について正しい認識を持っておらず、従って危機感も薄かったこと。

もうひとつはアメリカが世界有数のネットワーク先進国であり、すでに生活基盤の一部となっていること。依存が高ければ、その分攻撃を受けやすく、受けた時のダメージも大きくなる。それをカバーできるだけの防衛力がなければ無防備でサイバー空間にさらされている状態になる。かつてアメリカはそうだった。そして日本はいまでもそのままだ。

本書、Fred Kaplan 著「Dark Territory: The Secret History of Cyber War」はそのタイトルの通り、アメリカにおけるサイバー戦の扱いがどのように変遷してきたかを記したドキュメントである。技術的な側面や戦史そのものよりも、組織と人に焦点をあてている。

おかげで一読して、一過性の技術や教育に対する投資の意味がないことがわかる。正確に言えば、しかるべき組織と指導者、そしてビジョンがなければむやみに技術や教育に投資をしても役には立たないということだ。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 続きを読む

《一田 和樹》

関連記事

この記事の写真

/
PageTop

特集

アクセスランキング

  1. VPN製品に関する脆弱性対策情報の深刻度別割合、「危険」「警告」で95%を占める

    VPN製品に関する脆弱性対策情報の深刻度別割合、「危険」「警告」で95%を占める

  2. 先端セキュリティ企業は互いをどう評価したか、ゼロトラストネットワーク 4 つの条件

    先端セキュリティ企業は互いをどう評価したか、ゼロトラストネットワーク 4 つの条件

  3. 2020年 企業へのサイバー攻撃動向総括 ~ 盗まれた認証情報はいくらで売りに出されるか

    2020年 企業へのサイバー攻撃動向総括 ~ 盗まれた認証情報はいくらで売りに出されるか

  4. 日本も457台が被害に、テレワークがもたらしたPCからの情報窃取の現実

    日本も457台が被害に、テレワークがもたらしたPCからの情報窃取の現実

  5. 仮想通貨取引所「Liquid」への不正アクセス最終報、APIキー等169,782件の流出を確認

    仮想通貨取引所「Liquid」への不正アクセス最終報、APIキー等169,782件の流出を確認

  6. 我が社の IoT 活用の課題 総洗い出し ~ JSSEC IoT セキュリティチェックシート活用方法

    我が社の IoT 活用の課題 総洗い出し ~ JSSEC IoT セキュリティチェックシート活用方法

  7. Bugtraq の死と復活、歴史あるコミュニティにアクセンチュアがとった処遇

    Bugtraq の死と復活、歴史あるコミュニティにアクセンチュアがとった処遇

  8. 売上規模別に見た 全 IT 投資中のセキュリティ予算比率 ~ 東証上場企業

    売上規模別に見た 全 IT 投資中のセキュリティ予算比率 ~ 東証上場企業

  9. ファイル誤添付、Excel 別シートに新型コロナ接触者情報記載

    ファイル誤添付、Excel 別シートに新型コロナ接触者情報記載

  10. 一体どうバランスを取るか?  高度なサイバー攻撃対策 & 日々のセキュリティ運用

    一体どうバランスを取るか? 高度なサイバー攻撃対策 & 日々のセキュリティ運用PR

ランキングをもっと見る