日本のネット事業者が直面する新しい経営の壁 - 『超限戦』敗戦国の行方 | ScanNetSecurity
2024.04.26(金)

日本のネット事業者が直面する新しい経営の壁 - 『超限戦』敗戦国の行方

民主主義的価値は『超限戦』と相容れないため、捨てることを余儀なくされる。実際、フェイスブックグループはその方向で事業展開しているとしか思えない。

調査・レポート・白書・ガイドライン ブックレビュー
一田和樹氏の同僚、一田スライ氏 近影
一田和樹氏の同僚、一田スライ氏 近影 全 1 枚 拡大写真
 作家・評論家の一田和樹氏に、今年復刊されたサイバーセキュリティ分野の超重要書『超限戦』のレビューを依頼し快諾をいただき、防衛セクターに向けて書かれた前編を終戦記念日を控えた8月13日に配信しました。今回公開する後編は、日本の民間企業、特に IT 企業経営層に向けて書かれています。

--

1.世界の情報インフラを制覇しつつある中国

 角川新書から今春復刊された 21 世紀の戦争論『超限戦』は中国が進めている施策の解説書としても読むことができる。中国がスリランカに経済協力という名で金を高金利で貸し付け、その返済の代わりにスリランカ南部ハンバントタ港の 99 年間の権利を得たことはその代表例だ。

 さらに深刻なのは相手国の情報基盤をそっくり手に入れているやり口である。それは「デジタル権威主義」の輸出と揶揄されている。相手国に資金を提供し、その資金で国民監視システムを構築させ、HUAWEI や ZTE といった中国の IT 企業に受注させる。これによってその国の政府は、国民ひとりひとりの全ての行動を「監視カメラ」「本人のスマホ」「通信傍受」「SNS 監視」によって傍受し AI によってリアルタイムで分析、把握できるようになる。

 これがあればテロや抗議活動、犯罪まで容易に発見できる。そしてその情報が中国本土にもリアルタイムで共有されたらどうなるのか? 中国の監視システムはアジア、ラテンアメリカ、アフリカに普及しつつあり、欧米の NPO やシンクタンクは警告を発している。

《一田 和樹》

関連記事

この記事の写真

/

特集

PageTop

アクセスランキング

  1. 今日もどこかで情報漏えい 第23回「2024年3月の情報漏えい」なめるなという決意 ここまでやるという矜恃

    今日もどこかで情報漏えい 第23回「2024年3月の情報漏えい」なめるなという決意 ここまでやるという矜恃

  2. 訃報:セキュリティの草分けロス・アンダーソン氏 死去 67 歳、何回分かの生涯に匹敵する業績

    訃報:セキュリティの草分けロス・アンダーソン氏 死去 67 歳、何回分かの生涯に匹敵する業績

  3. 社員のセキュリティ意欲高める施策とは? 罰則は逆効果 ~ プルーフポイント「2024 State of the Phish」日本語版公表

    社員のセキュリティ意欲高める施策とは? 罰則は逆効果 ~ プルーフポイント「2024 State of the Phish」日本語版公表

  4. LINEヤフー委託先への不正アクセス、報告書を受け 2 度目の行政指導

    LINEヤフー委託先への不正アクセス、報告書を受け 2 度目の行政指導

  5. スペシャリスト集結! マネーフォワード・ラック・富士ソフト・電通総研から学ぶ、脆弱性診断内製化の成功法則とは? AeyeScan 導入企業との公開対談

    スペシャリスト集結! マネーフォワード・ラック・富士ソフト・電通総研から学ぶ、脆弱性診断内製化の成功法則とは? AeyeScan 導入企業との公開対談PR

  6. タカラベルモントの海外向けウェブサイトのサーバがフィッシングメール送信の踏み台に

    タカラベルモントの海外向けウェブサイトのサーバがフィッシングメール送信の踏み台に

  7. 情報処理学会、高等学校情報科の全教科書の用語リスト公開

    情報処理学会、高等学校情報科の全教科書の用語リスト公開

  8. 国内カード発行会社のドメイン毎の DMARC 設定率 36.2%「キャッシュレスセキュリティレポート(2023年10-12月版)」公表

    国内カード発行会社のドメイン毎の DMARC 設定率 36.2%「キャッシュレスセキュリティレポート(2023年10-12月版)」公表

  9. Linux の GSM ドライバにおける Use-After-Free の脆弱性(Scan Tech Report)

    Linux の GSM ドライバにおける Use-After-Free の脆弱性(Scan Tech Report)

  10. 東芝テックが利用するクラウドサービスに不正アクセス、取引先や従業員の個人情報が閲覧された可能性

    東芝テックが利用するクラウドサービスに不正アクセス、取引先や従業員の個人情報が閲覧された可能性

ランキングをもっと見る