誇大広告に騙されるな ~ ガートナーが考える「失敗するゼロトラストネットワーク」 | ScanNetSecurity
2025.11.13(木)

誇大広告に騙されるな ~ ガートナーが考える「失敗するゼロトラストネットワーク」

ガートナーのアナリストジョン・ワッツ氏は「トラスト(信頼)は時間をかけて育てていくものでゼロになるということは、本来あり得ない」といい、企業がゼロトラスト戦略を考える上でのヒント、アプローチを次のように語る。

研修・セミナー・カンファレンス セミナー・イベント
ジョン・ワッツ氏
ジョン・ワッツ氏 全 3 枚 拡大写真
 テレワーク普及以降いっそう注目を受けるようになった「ゼロトラスト」「ゼロトラストネットワーク」は、技術用語でもあるが同時にマーケティング用語でもあるため、業界の中でもこの言葉の定義や意味が微妙に異なる。

 ガートナーのアナリストジョン・ワッツ氏は「トラスト(信頼)は時間をかけて育てていくものでゼロになるということは、本来あり得ない」と言い、企業がゼロトラスト戦略を考える上でのヒント、アプローチを次のように語る。

●マーケティング用語としてのゼロトラストに注意

 よく言われるのが「 VPN の時代は終わりゼロトラストの時代が来た」というような論調だ。ワッツ氏によれば、「アジャイルが進む」とした広告や「 VPN をゼロトラストに」という表現も見たことがあるという。しかし、アジャイルや開発のスピードアップとゼロトラストネットワークは直接関係ないし、VPN はそもそもゼロトラストではないので矛盾した表現だという。

 現実問題として、ほとんどの組織は完全な「ゼロトラスト」にはならない。かといってゼロトラストの議論で欠かせない最小特権アクセスは、可用性とセキュリティ対策のバランスが難しい。ゼロトラストは本質的にセキュリティを高めるアプローチではない。当然、VPN をすべてゼロトラストネットワークに置き換えることなどできない。

 ワッツ氏がゼロトラストに関するコンサルティングを行う場合の一丁目一番地は、「どんな構成要素(ビルディングブロック)が必要か」「どこからスタートさせるべきか」の 2 点だという。本稿では、昨年のガートナー セキュリティ & リスク・マネジメント サミットでのワッツ氏の講演の要旨をお届けする。

《中尾 真二( Shinji Nakao )》

関連記事

この記事の写真

/

特集

PageTop

アクセスランキング

  1. 犯行声明を把握 ~ アスクルへのランサムウェア攻撃

    犯行声明を把握 ~ アスクルへのランサムウェア攻撃

  2. 出荷できていない注文は全てキャンセルに ~ アスクルへのランサムウェア攻撃

    出荷できていない注文は全てキャンセルに ~ アスクルへのランサムウェア攻撃

  3. 「SASE時代に “IPv6は危険” はもう古い」法人ネットワークの常識を更新する ~ Internet Week 2025

    「SASE時代に “IPv6は危険” はもう古い」法人ネットワークの常識を更新する ~ Internet Week 2025

  4. 家庭用ルータ・IoTルータ等のネットワーク境界の ORB 化に注意を呼びかけ

    家庭用ルータ・IoTルータ等のネットワーク境界の ORB 化に注意を呼びかけ

  5. 迅速に措置を講じ日本への影響なし ~ 電通グループ海外事業ネットワークの一部に異常な作動を検知

    迅速に措置を講じ日本への影響なし ~ 電通グループ海外事業ネットワークの一部に異常な作動を検知

ランキングをもっと見る
PageTop