非識別化と再識別化:前編「研究者間でスポーツ競技化する再識別化」 | ScanNetSecurity
2026.10.31(土)

非識別化と再識別化:前編「研究者間でスポーツ競技化する再識別化」

データを匿名化することを「非識別化」というが、これを適切に行うことは見かけ以上に難しいと、UCLA のコンピュータサイエンス教授でスケーラブル・アナィティクス・インスティチュートのディレクターであるウェイ・ワン氏は言う。

国際 TheRegister
非識別化と再識別化:前編「研究者間でスポーツ競技化する再識別化」
非識別化と再識別化:前編「研究者間でスポーツ競技化する再識別化」 全 1 枚 拡大写真
 種類を問わず、データを公開することは、政府、学術機関、企業には大きなメリットがある。しかし、規制当局は、個人のプライバシーを保護しつつその恩恵を受けるために、データの匿名化を求めている。しかし、人々がデータの「行間」を読めるとしたらどうなるだろうか。

 データを匿名化することを「非識別化」というが、これを適切に行うことは見かけ以上に難しいと、UCLA のコンピュータサイエンス教授でスケーラブル・アナィティクス・インスティチュートのディレクターであるウェイ・ワン氏は言う。

 「個人情報を削除するだけでなく、削除した後に残ったデータがまだ有用であることを念頭に置く必要があります」と彼女は言う。

 ほんの少しの手間で、残っているデータポイントから個人情報を再現できることがある。このプロセスは再識別化と呼ばれ、人々の人生を台無しにすることすらあるのだ。

 最近の事例では、あるオンライン・ニュースレターが、カトリックの神父がゲイ向けの出会い系アプリ「Grindr」を頻繁に利用していたことを暴露した。このニュースレターは、第三者のデータブローカーから Grindr の利用データを購入。このデータセットには個人を特定する情報は含まれていなかったが、ニュースレターはデバイス ID と位置情報を使い、神父を特定した。その ID は、ゲイバーや、勤務先の住所、家族の住所などに現れ、その情報は、神父の名前を探し出してアウティング(編集部註:本人が公表していない指向等を本人に無断で暴露すること)するには十分だった。その後、彼は辞職した。

 再識別化の危険性は、誰にでも重大な影響を及ぼし得る。だからこそ、匿名化されたデータセットの公開が急がれる今、人々は一度立ち止まって考えるべきだろう。一部の研究者の間では、再識別化がスポーツ競技のようになっている。例えば、ある研究チームは 2006 年に匿名の AOL 検索クエリを収集・分析し、非識別化された Netflix の利用データから個人を特定した。いずれの組織も研究の名目でデータを公開していた。2009 年には、ある同性愛者の女性が Netflix を訴え、データによって自分がアウティングされた可能性があると主張した。

《The Register誌特約記事》

関連記事

この記事の写真

/

特集

PageTop

アクセスランキング

  1. 「お名前.com デスクトップクラウド」に不正アクセス、情報が公開された顧客に上限300万円の特別見舞金

    「お名前.com デスクトップクラウド」に不正アクセス、情報が公開された顧客に上限300万円の特別見舞金

  2. ニフティの回線申込・受付管理システムに不正アクセス、最大54万2,513件の会員情報に影響

    ニフティの回線申込・受付管理システムに不正アクセス、最大54万2,513件の会員情報に影響

  3. So-net 会員データベースに不正アクセス、会員情報214万1,986件が漏えい

    So-net 会員データベースに不正アクセス、会員情報214万1,986件が漏えい

  4. 日本プルーフポイント増田幸美のセキュリティ情報プレゼンテーション必勝ノウハウ

    日本プルーフポイント増田幸美のセキュリティ情報プレゼンテーション必勝ノウハウPR

  5. 「阪急百貨店・阪神百貨店予約サイト」に不正アクセス、約126万件の「H2O ID」個人情報が漏えい

    「阪急百貨店・阪神百貨店予約サイト」に不正アクセス、約126万件の「H2O ID」個人情報が漏えい

ランキングをもっと見る
PageTop