電子メール監視法案、修正へ(英国政府)
プライバシー擁護団体、業界団体、インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)などから批判が相次いだため、英政府は現在上院で検討されている電子メールの監視に関する調査権限規定(Regulation of Investigatory Powers:RIP)法案を一部改正することにした。RIP法案
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すでに下院を通過した同法案は、電子メールおよび他の暗号化されたインターネット通信を傍受、監視する権利を英政府に与えるものだ。内務省の広報担当は「我々は英国商工会議所や他の団体の提案に耳を傾けた。そして法案の趣旨と均衡を保ちつつ、業界の理解を得られるよう修正案を作成した」と述べた。さらに、修正案は上院での強い反発を回避するため措置、もしくは政府が戦略を変えたとする見方を否定し、他の法案と同様のプロセスを経てRIP修正案が作成されたことを強調した。
RIP法案が成立した場合、英国のISPに電子メール・トラフィックを監視するブラックボックスの搭載が義務づけられ、ロンドンにある諜報局5部(MI-5)の監視センターに直接、データが流れるようになる。さらに、内務省は暗号化された全てのデータ通信に対し暗号鍵の受け渡しを要求することができ、拒否した場合は禁固2年の刑に処される。
市民の基本的人権の擁護団体は、政府の電子メール傍受法案がプライバシーの侵害にあたるとして非難を表明し、また企業もこの法案が成立した場合、電子商取引関連の企業は英国を離れ、その様な規制のない国に移転せざるを得なくなるだろうと懸念を示した。そして英国のISPは、傍受に必要とされる諸設備の費用の負担が求められるとして法制化に反対している。
ある調査機関は、RIP法案が成立した場合、政府は5年間で約460億ポンドの負担を業界に強いると推計している。
《ScanNetSecurity》