ボット対策プロジェクトとは(2)官民共同での総合的な対策構築に意義がある
インターネット上の新たな脅威として、その危険性が指摘されている「ボット」(ボットネット)。次々に新種・亜種が誕生するなど従来のウイルス対策では対処しきれないボットの撲滅に向けて、経済産業省と総務省が共同で2006年4月からボット対策プロジェクトをスタートさ
特集
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●総務省と経済産業省が足並みを揃えて「総合的な」ボット対策の枠組みを構築するところに大きな意義がある
経済産業省と総務省が共同で2006年4月から、ボット、あるいはボットネット撲滅に向けたプロジェクトを開始する。その背景には、経済産業省などが関係機関の協力のもとに実施してきた従来のウイルス対策の枠組みだけでは対処しきれないこと、ボットに感染しているコンピュータを探し出し対処するにはインターネットサービスプロバイダの協力こそが不可欠になることがある。
経済産業省・商務情報政策局・情報セキュリティ政策室の課長補佐・村野正泰氏は「ISPを管轄する総務省と共同でボット対策を進めるところに大きな意味合いがある」とその重要性を語る。「実際にボット、ボットネットを利用したと考えられる被害も報告され始めている。インターネットの世界の安全性を維持するためにも、総務省と経済産業省の緊密な連携のもと、Telecom-ISAC JapanやJPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)、情報処理推進機構(IPA)など関係機関、ISPやウイルス対策ソフトのベンダーなどの民間企業の協力も得て、『総合的な』ボット、ボットネット対策の構築が急務の課題であ
る」(村野氏)という。2006年4月からのプロジェクトのスタートに向けて、経済産業省側では約4億円の予算の内示を受けている。
さて、今回のプロジェクトを遂行する具体的なスキームについて触れておこう。まだ実際にはプロジェクトがスタートしていないため、2006年4月の時点ではこのスキームが変更されたり、関係機関や民間企業の役割が変更される可能性もある。あくまでも現時点でのスキーム(予定)と考えていただきたい。
まず、プロジェクトの大枠のスキームを記すと次のようになる。
・ISPの協力のもと、インターネット上に検体収集用のサーバを設置して、ボットのプログラムを「おびき寄せて」集める。
・IPA、JPCERT/CCなどがウイルス対策ベンダー等と協力してボットを解析してボットの駆除ツールを作成する。
・総務省、経済産業省、Telecom-ISAC、IPA、JPCERT/CC等の関係機関のホームページなどを利用して、開発した駆除ツールを公開・配布する。
・海外のボットネットからの攻撃が確認された場合など、必要に応じてJPCERT/CCを通じて海外CSIRT(Computer Security Incident Response Team)とも連携する。
といったものだ。
【執筆:下玉利 尚明】
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