続報 DefConの変化に見る、米セキュリティ事情の変貌(2) | ScanNetSecurity
2024.04.29(月)

続報 DefConの変化に見る、米セキュリティ事情の変貌(2)

 8月8日にScanで掲載しました、ジャック飯沼氏による寄稿記事「速報!DefConの変化に見る、米セキュリティ事情の変貌」の続編を今回は掲載します。8月3日から5日までアメリカはラスベガスで開催されたデフコンの本選に観戦に行き、デフコンの大会や参加者の年々の変化を

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 8月8日にScanで掲載しました、ジャック飯沼氏による寄稿記事「速報!DefConの変化に見る、米セキュリティ事情の変貌」の続編を今回は掲載します。8月3日から5日までアメリカはラスベガスで開催されたデフコンの本選に観戦に行き、デフコンの大会や参加者の年々の変化を実感されたそうです。

 それでは見ていきましょう。
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 さて、DefConの会場には、ワイヤレスネットワークが張り巡らされており、参加者は思い思いの場所で快適なインターネットライフを満喫することができます。。。が、全ての通信はスニッフされています。暗号化せずに通信をしてしまうと、認証の情報が公にさらされてしまいます。DefCon名物の「Wall of Sheep」です。(写真08)

認証情報がもれると画面に羊が現れます。(写真08)

 今やDefCon参加者であれば、Wall of Sheepに誰もが気を使っているため、以前ほどさらされる件数はないのですが、今年見たときには、Gmailのログイン情報が多く映し出されていました。Gmaiはログインする時にはSSLなのですが、そこから先はデフォルトだとHTTPに戻ってしまいますので、彼女からのメール等を見ている間に、気づいたらWall of Sheepに自分の情報が出てしまうという憂き目にあいます。どちらかと言えばGoogleの問題だと思うわけですが、参加者としてもSSID:DefConでワイヤレス通信をするのであれば、もう少し注意深くなった方が良いのかも知れません。(写真09)

ログイン名、パスワード(一部)、ドメインとサービスが公開されてしまいます。

 今回のDefConでは、弊社のパートナーでもあるimmunity社がベンダーのブースを出していました。immunity社では、弊社でも愛用するネットワークの監査ツール「CANVAS」を開発しており、exploitの分野(そんな分野があるのか分かりませんが)では世界のリーディングカンパニーです。今回はVisual Exploitという、ドラッグ&ドロップで誰でも簡単にハッキング、といツールを紹介していました。困ったものです。(写真10,11)

immunity社CTOのDave Aitel氏。今回DefConのために、特別のヘアスタイルにしたそうです。写真には半分しか写ってませんが、後頭部に「immunity」と書いてあります。(写真10,11)

ちなみに、弊社では今年度末にimmunity社と共同で、「Fuzzing & Exploit Writing(未知の脆弱性の発見と攻撃コードの作成)」の実践セミナーを開催する予定でおります。
※編集部注:ジャック飯沼氏は、ペネトレーションテストやセキュリティ教育などを行うサイバーディフェンス研究所の所長である。
DefConは、カンファレンスであると同時にハッカーの社交の場でもあります。参加者は、開催期間中いろいろな場所でアルコールを酌み交わしながら、親交を深めます。中でも、セキュリティ会社のパーティには多くのハッカーがアルコール類を求めて集まります。これらのパーティは、セキュリティ会社が日ごろのご愛顧とご協力に感謝して、パートナー企業や協力者を呼んで、その労をねぎらうものです。今年は招待状が届いたものの内、iDefenseとimmunityのパーティに参加しました。(写真12,13)

セキュリティ情報を配信し続けるiDefense。各国の脆弱性情報提供者がパーティに集まります。写真は、氷でできたiDefenseLabのモニュメント。上に付いている注ぎ口からウォッカを流しこみ、氷を通り抜けて下から出てくる頃にはキンキンに冷えて飲み頃になってます。(写真12)
パーティは基本的に音楽が大音量です。特に英語が母国でない我々は、ゆっくり話そうと思っても、残念ながらそうもいきません。。(写真13)

 各社のパーティも佳境に入る夜の10時過ぎ、DefConの会場ではその一室をバースペースに改造して、参加者によるパーティが催されます。このパーティは、「Hacker Jeopardy(ハッカーの生命危機)」という名前の通り、非常にDeepです。弊社のエンジニアが他のパーティを2軒ハシゴ?した後に参加してましたが、パーティの途中から記憶を失ったらしく、ホテルで翌朝起きたら腕にマジックで「I passed out @ DefCon(私はDefConでつぶれました)」と書かれてあったそうです。まさにJeopardy、おそるべしです。(写真13.5参考)

これが最後に撮影された写真。この後記憶がなくなります。(写真13.5)
 と、ここまで書いてふと思ったのですが、ビッグショットやアルコールの話しばかりで、肝心のカンファレンスの内容がほとんど書いてありません。。。実は、2つくらいしか聞いてないんです、はい。その内一つは眠っていました。 ただ全体を見て(というか、プログラムを見て)思ったのですが、以前は主流であったネットワークハッキングに関する発表が殆どありませんでした。ネットワークの脆弱性等は出尽くした感があるのでしょうか、代わってFuzzingのような未知の脆弱性を探すようなトピックが多かった印象です。また、ワイヤレスのセキュリティに関する発表も去年くらいから多くなってますね。 ほぼ全てのプレゼンの内容は、申し込み時にもらったCDに入っているので、そちらで要点は見られます。また、後々Webでも内容が公開されるはずです。 最後に、今回DefConの参加者を見て、話して、思ったのですが、参加者の70%以上はセキュリティ会社の人たちなんですね(我々もそうですが)。もともとは無法者?のハッカーが大勢を占め、Fed(政府関係者はこう呼ばれます)が会場にいると平然と中指を突き立てる、といった趣きだった訳ですが、アメリカのハッカーの人たちも、やはり仕事としてその技術をセキュリティに活かすという流れが定着しつつあるのでしょうか。Fedも今では大切な顧客になったようですね。そういえば、以前に、現在はペンテストに従事しているある著名なアメリカ人ハッカーが言っていました「お金をもらってハッキングできるなんて最高だぜ!」と。 ともあれ、ラスベガスは非常に暑かったです。もともとは砂漠の土地なので、特に日中の暑さは耐えられません。しかし、会場から離れた街中で、DefConの入場証をぶら下げた人を見ると、なんとなく一服の清涼を感じてしまうところが怖いです。(写真14)

映画でも有名なホテルベラッジオ。こんなホテルの前でもDefCon参加証をぶら下げた人とすれ違ったりしました。(写真14)

 年を経るごとにその規模が拡大しているDefConですが、来年こそはCTFの本戦出場!を胸に期し、8月5日(日)の早朝にラスベガスを後にしました。6日(月)の夕方に日本に到着し、火曜日の朝から仕事です。 

【関連記事】
●DefConの変化に見る、セキュリティビジネスの変貌 第1回「参加者のみが知るデフコン」
https://www.netsecurity.ne.jp/2_9806.html
●「デフコン旗取りゲーム、日本チーム参戦マニュアル(1)」
https://www.netsecurity.ne.jp/3_9642.html
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《ScanNetSecurity》

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