インターネットのセキュリティ、自分の身を自分で守れない時代
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先日、ユーザーがいかにインターネットの衛生に気を使っていても、スパムやマルウエアの被害から逃れないという現状を報告したばかりだ。
この事実を裏付けるのが、StopBadware.org によるレポート「Trends in Badware 2007: What internet users need to know」である。
StopBadware.orgは、Harvard Law School's Berkman Center for Internet & Societyと、 Oxford University's Oxford Internet Institute が率先するイニシアチブで、Google、Lenovo、Sun Microsystems などがスポンサーになっている。
StopBadware.org では、マルウエアやウイルスをダウンロードさせるWebページのリストを持っており、その数は約20万だ。問題なのは、その中の約半数以上が正規サイトであることだ。
StopBadware.org はプレスリリースで「ユーザーが有名Webサイトをブラウズするだけで感染してしまうのがトレンドとなった」と言及。ハッキングされたWebマスターの多くは、自分のサイトがハックされていることを知らないというのが現状だそうだ。
電子メールでも、正規メールを装ったスパムが多く、巧妙に作られたメールはフィッシング詐欺被害を拡大している。これを受けてPayPal、eBay、Yahoo!は共同で、正規サーバーから発送されたメールに電子署名を追加し、DomainKeys技術を使って偽装メールをユーザーが見分けることができるサービスを開始したばかりだ。
ところが、10月5日に、セキュリティ企業のMaarshal社が、YouTubeのサーバーがハッキングされ、正規のサーバーからスパムが送付されていることを発見。これは、YouTubeの「友達を招待」の機能を使ったもので、受け取ったメールは正規サーバーから届いた正規メールとまったく同じ形式。「友人からの個人メッセージ」の部分がスパムになっており「おめでとうございます。xbox360とHalo 3が当選しました。www.winhalo3.comを訪れて賞品を手に入れてください」と書いてある。最近のトレンドの敏感なスパマーらしく、Halo 3をエサにつかっているところがミソ。
こうした正規サイトからのスパムにウイルスがのっていたり、マルウエアをダウンロードさせるサイトを訪れさせたりした場合、被害はより深刻になる。ユーザーが自分で自分のセキュリティを守れる時代は過去になりつつある。
【執筆:米国 笠原利香】
【関連リンク】
Trends in Badware 2007
http://www.stopbadware.org/pdfs/trends_in_badware_2007.pdf
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