海外における個人情報流出事件とその対応「下級軍人による国家機密漏えい」(1)軍機密の料金は3,000ドル | ScanNetSecurity
2025.10.13(月)

海外における個人情報流出事件とその対応「下級軍人による国家機密漏えい」(1)軍機密の料金は3,000ドル

●下級軍人による国家機密漏えい
ノースカロライナ州に駐屯していた海軍軍人が、外国の諜報員を装ったFBI捜査官に極秘情報を売ろうとしたと、2010年12月5日付けで『Associated Press』が報じている。
米海軍犯罪捜査局のスポークスマン、Ed Buiceは『The Fayetteville O

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●下級軍人による国家機密漏えい
ノースカロライナ州に駐屯していた海軍軍人が、外国の諜報員を装ったFBI捜査官に極秘情報を売ろうとしたと、2010年12月5日付けで『Associated Press』が報じている。
米海軍犯罪捜査局のスポークスマン、Ed Buiceは『The Fayetteville Observer』に対して、この軍人は12月1日からバージニア州で拘留されていると語った。軍の機密情報の漏えいを企てたのは、ニューヨーク州の22歳のBryan Minkyu Martin だ。Martin は統合特殊作戦コマンドに配属されていた、海軍予備役情報スペシャリストで、3等下士官とされている。統合特殊作戦コマンドは、デルタフォースなど特殊任務部隊を運用する。

12月2日付けにニューヨーク北部地域の地方裁判所に出された、捜査および差押さえ令状によると、Martinは外国の諜報員のふりをした捜査官に、ノースカロライナのホテルで書類を手渡して、報酬を受けた。二人が情報のやりとりをしたのは、合計3度とされている。またMartinは、自分は各種極秘システムへのアクセスがあるとした上で、軍に20年はとどまるつもりだと捜査員に話して、軍でのキャリアを積む間、機密情報を提供し続ける“極めて貴重な”情報源となるとアピールしていた。

●軍機密の料金は3000ドル
二人がはじめて会ったのは11月15日だ。ホテルのロビーで会った後、部屋に移動して約90分間のミーティングを行った。Martinは軍のコンピュータシステムへのアクセスを持つとして、特に極秘内容を扱うネットワークシステム、Joint Special Operations Command Information Automated Network(JIANT)とSpecial Operations Information Systems (SOIS)の名前を挙げた。JIANTは人事関係、SOISはトップシークレットとされるネットワークだ。
さらに現在の任務はアフガニスタンが中心だと言っていた。また、今後は、国防情報局で勤務する予定だと、捜査員に語っている。

その際、次回には2件の書類を持ってくると約束して、MartinはこのFBI諜報員から500ドルの現金を受け取った。500ドルはいわば手付金だったようで、次回には書類と引き換えに追加での支払いを求めていた。また、捜査員が今後の連絡のためにと渡した携帯電話を受け取っている。
次にMartinが諜報員と会ったのは翌日、11月16日だ。海軍の制服を着たMartinは、前日と同じホテルで、51ページの極秘書類を渡している。国防に関する米国の情報などで、書類と引き換えにMartinは1500ドルを受け取り、領収書にサインした。

続いて捜査員はMartinに18日に連絡して、19日に会う約束を取り付けた。場所は別のホテルで、Martinはやはり制服姿で現れて、51ページ中、48ページに“シークレット”とマークがついていたほか、3ページは“トップシークレット”となった書類を用意している。19日に得た報酬も1500ドルだ。
NCISのスポークスマン、Paul O'Donnellは、Martinが関係した極秘情報は見る権限のない人物には実際には渡っていないと説明している。

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(バンクーバー新報 西川桂子)

《ScanNetSecurity》

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