書評「Dark Territory」(2) アメリカにおけるサイバー戦の扱いの変遷 ~ USCYBERCOM 以前 | ScanNetSecurity
2025.11.15(土)

書評「Dark Territory」(2) アメリカにおけるサイバー戦の扱いの変遷 ~ USCYBERCOM 以前

USCYBERCOM (アメリカサイバー軍) 以前のアメリカでは、ほとんどの政治家と官僚に正しい認識がなかったと言っていいだろう。従って USCYBERCOM 以前は、ごく少数の人々による苦闘の歴史だ。

調査・レポート・白書・ガイドライン ブックレビュー
書評「Dark Territory」(2) アメリカにおけるサイバー戦の扱いの変遷 ~ USCYBERCOM 以前
書評「Dark Territory」(2) アメリカにおけるサイバー戦の扱いの変遷 ~ USCYBERCOM 以前 全 1 枚 拡大写真
USCYBERCOM (アメリカサイバー軍) 以前のアメリカでは、ほとんどの政治家と官僚に正しい認識がなかったと言っていいだろう。従って USCYBERCOM 以前は、ごく少数の人々による苦闘の歴史だ。

決してアイデアや技術で遅れていたわけではない。組織的に対応していなかったのである。

たとえば、1967年 4月 (ARPANET 誕生直前) に Wilis Ware というエンジニアは、「 Security and Privacy in Comupter Systems 」と題する、政府ネットワークへのハッキングの危険性についての論文を書いた。そこではネットワークによる資源の共有とオンラインによってリスクが発生すると指摘されていた。1996年には NATO のウォーゲームでサイバー攻撃のシミュレーションを行っていたコンピュータ研究者 Matt Devost が「 Information Terroism: Can you Trust Your Toasterr? 」(共著) を著した。これは今日の IoT のセキュリティリスクそのものずばりの内容だ。

アメリカ政府が動き出したのは、ロナルド・レーガン大統領が映画「ウォーゲーム」を観てショックを受けたところからだ。1983年 6月 4日、彼はホワイトハウスの会議で「これってほんとにありうるの?」と訊ね、居並ぶ人々は即答できなかった。調査ののち、Jack Vessey 将軍が「はい。現実にはもっとひどいことが起こります」との回答し、事態を重くみたレーガンは NSDD-145 (National Policy on Telecommunications and Automated Information Systems Security) にサインした。アメリカ政府として、サイバーセキュリティに取り組むことがここで決まり、Computer Security Centerも設立された。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 続きを読む

《一田 和樹》

関連記事

この記事の写真

/

特集

PageTop

アクセスランキング

  1. 国勢調査指導員 業務パソコンから自身所有の携帯端末へメールを送信したが届かず

    国勢調査指導員 業務パソコンから自身所有の携帯端末へメールを送信したが届かず

  2. EDR のセキュリティアラート解析 5 つの重要ポイント

    EDR のセキュリティアラート解析 5 つの重要ポイント

  3. 広島銀行のアンケート回答者の情報が漏えい ~ ローレルバンクマシンの入力補助ツールへの身代金要求を伴う不正アクセス

    広島銀行のアンケート回答者の情報が漏えい ~ ローレルバンクマシンの入力補助ツールへの身代金要求を伴う不正アクセス

  4. 総務省 AI セキュリティ分科会配付資料公開 ~ MBSD、AI 関連ガイドライン紹介

    総務省 AI セキュリティ分科会配付資料公開 ~ MBSD、AI 関連ガイドライン紹介

  5. メール誤送信事故多発で悪名高いドッペルゲンガードメイン「gmai.com」はどこの誰が保有しているのか?

    メール誤送信事故多発で悪名高いドッペルゲンガードメイン「gmai.com」はどこの誰が保有しているのか?

ランキングをもっと見る
PageTop