2021年SFプロトタイピングの旅 第6回「自動車会社の10年後」 | ScanNetSecurity
2026.06.04(木)

2021年SFプロトタイピングの旅 第6回「自動車会社の10年後」

 1968年に作家のクラークが発表した小説「2001年宇宙の旅」と、同年公開されたキューブリック監督による映画化作品の成功は、その後の人類の宇宙開発に少なからぬ影響を与えました。

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 1968年に作家のクラークが発表した小説「2001年宇宙の旅」と、同年公開されたキューブリック監督による映画化作品の成功は、その後の人類の宇宙開発に少なからぬ影響を与えました。

 空想科学小説(SF)という文学ジャンルの持つ力を借りて、新しい価値観や目標、今までになかった製品やサービスを考える手法は「SFプロトタイピング」と呼ばれており、Intel社の研究機関の未来学者によって提唱され、近年日本でも注目が集まっています。

 SFプロトタイピングは、飛躍や自由な発想が積極的に許容され、その点が、既知のデータをもとにしたシミュレーションや未来予測とは異なっています。

 未知の要素を最大限考慮に入れながら将来やってくる未来を思い描く。これを「将来やってくる未来」ではなく「将来やってくる脅威」に置き換えれば、それはセキュリティ担当者なら多かれ少なかれみんながやっていることではないのか。

 そんな認識のもとで、2021年夏、1名の作家を含む識者3名が集まり、サイバーセキュリティ領域でのSFプロトタイピングの利活用の可能性について考える勉強会を開催しました。3名の講演とディスカッションで構成され、ディスカッションのテーマに設定したのは、サイバー攻撃の非対称性を無効化する兵器を構想すること。

 登壇したのは、著書「SFプロトタイピング: SFからイノベーションを生み出す新戦略」を早川書房から出版(共著)したばかりの、筑波大学の大澤 博隆 先生、そして、SFプロトタイピングを活用した企業コンサルティングの実績を持つアノン株式会社の森 竜太郎 社長。そして、サイバーミステリー作家の一田 和樹 氏の3名です。(註:所属及肩書は当時)

 昨2021年をはるかに超えて不確定要素が増す現在、3名の講演とそれに続くディスカッションを、勉強会の講演再録として連載でお届けします。第6回はアノン株式会社の森 竜太郎 社長の最終パートです。

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 ここまで概要の部分をお話しさせていただきましたが、皆さんによりイメージを膨らませていただくために、実際に私が関わった、自動車会社の、10年後を描く新規事業プロジェクトについてお話いたします。

 まず前提として、自動車業界には、今後20年のうちにカーシェアや自動運転の普及によって都市の交通課題は解決の方向に向かうであろう、という通説があります。

 一方で我々、新規事業開発部隊が未来の都市の在り方について調査や議論を重ねていく中で、都市の超高層化そして都市圏の急拡大によって、既存の自動車だけでは高速移動需要を満たせない可能性があるのではないか、というSF的シナリオを描いていきました。

 さらにVRの進化が加速度的に進めば、仮想空間が進化して、移動の必要すらなくなってしまう。

 もちろんSF好きの皆様には馬鹿げていないのかもしれないですけれども、自動車産業にいる人からすると、こういった一見すると馬鹿げたように聞こえる可能性についても、真剣にシナリオを描いて、真面目に検討していきました。

 そこで、これらの将来の脅威の可能性と自社のcapabilityを分析する中で出てきたアイデアの一つが「空飛ぶ車がある未来」というものです。

 ここでもさらにSFシナリオを描いて未来の解像度を高めていき、課題を浮き彫りにしていく作業を行っていきました。万が一、空飛ぶ車に事故などが起きた場合、社会から不満の声が噴出することを免れず、それだけではなくてサイバーテロの標的になりかねない、というシナリオも描いていました。


《ScanNetSecurity》

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