工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン5 「ワンタイムアタッカー」 第19回「片山の推理」 | ScanNetSecurity
2026.09.25(金)

工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン5 「ワンタイムアタッカー」 第19回「片山の推理」

大手ネット広告代理店サイバーフジシン社 情報システム部の片山は、思考実験を繰り返していた。何度かの思考実験の結果、もっとも妥当な推理は、社長室の外にいる誰かが山内のトークンを盗み見して、金を奪ったというものだ。

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第六章 混乱

オレは、わくわくしながらじっと待った。四〇分くらい待って、待ちきれずにアクセスすると着金していた。すぐに複数の口座への送金指示を出す。

ルクセンブルクのinternaxx、アメリカのOANDA、シンガポールのシティバンクだ。

過去の経験では、着金するまでに一、二日はかかる。それを確認したら高飛びだ。ビジネスクラスで行くことにしよう。

ばれない自信はある。会社のシステムを外注しているN電気のセキュリティコンサルタントを名乗るヤツに「海外で資産保全できて、税金なしってどこがいいですかね」と尋ねたら、「よく知りませんが、やはりスイスでしょうか」などと答えた。小学生レベルだ。ゴルゴ13の読み過ぎだ。

そんな連中に海外送金を追跡することなんかできるわけがない。電子マネーやカジノの口座を介すれば完全に足跡を消せるだろう、少なくともあのバカどもの目からは。


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大手ネット広告代理店サイバーフジシン社 情報システム部の片山は、思考実験を繰り返していた。何度かの思考実験の結果、もっとも妥当な推理は、社長室の外にいる誰かが山内のトークンを盗み見して、金を奪ったというものだ。

犯人の条件は「山内が隠し口座を管理していることを知っている」「山内が隠し口座にアクセスする時間を知っている」「海外金融口座の基礎知識がある」、「ワンタイムアタッカーを使って芸能人ブログのパスワードを盗んだ犯人」ということになる。

片山は、それらを箇条書きにし、「ワンタイムアタッカーを使って芸能人ブログのパスワードを盗んだ犯人」に「?」をつけた。

── ワンタイムアタッカーを誰が使ったかは、わからないだろう。むしろこの事件の犯人がわかれば、それがわかるということだ。

《一田和樹》

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