工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン5 「ワンタイムアタッカー」 第21回「工藤伸治」 | ScanNetSecurity
2026.03.18(水)

工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン5 「ワンタイムアタッカー」 第21回「工藤伸治」

オレは、いささかあきれていた。そろいものそろってこんな簡単に騙されるとは驚きだ。確かに仕掛けはうまくできていたような気がするが、誰かひとりちょっと確認すればわかったことだ。

特集 フィクション
>>第 1 回から読む

第七章 真相

真田と一緒にタクシーに乗り、サイバーフジシンに着くまでの三十分間、オレは、電話で片山からくわしい説明を聞いた。頭の中で、パズルのパーツがどんどんそろってくる。全部聞き終わった時には、完成していた。パズルは別に複雑じゃない。パズルのパーツがそろうまでが工夫されてたんだ。

オレはサイバーフジシンに着くまでの間、頭をフル回転させ、同時にネットでさまざまなサイトにアクセスして情報を集めた。

「工藤さん、お願いしますよ。工藤伸治の名前がかかってるんですよ」

オレが考え事をしているというのに、真田が横から口出しして邪魔した。

「うるせえなあ」

「お願いしますよ。今日は名探偵ぶりを発揮していただきますからね」

「オレは探偵じゃないんだけどな」

「もう立派な探偵ですよ」

真田は無邪気に笑い、それを見たオレはげんなりした。

サイバーフジシンに着くと、片山が飛んできた。顔色の悪いヤツだが、オレたちを見てさらに悪くなった。オレたちを会議室に案内する間、片山はずっと無言だった。

無理もない、とオレは思った。どこからなにを訊けばいいのか、よくわからないのだろう。頭の中がパニックで整理がついていないに違いない。

会議室には、どことなく貧相なでかい顔の男と、きつい目をしたやせぎすの男が待っていた。どちらも中年だ。片山が、貧相な方を社長の吹田、もうひとりを財務の山内と紹介した。ふたりともオレと真田の顔を穴のあくほど見つめている。中年男ふたりに見つめられるというのは、気持ちのいいものじゃないとオレは思い知った。ふたりとも人相が下品すぎる。オレが言える筋合いじゃないが。

「みなさん、サイバーセキュリティコンサルタント、そして今ではサイバー探偵として有名な工藤伸治さんです」

《一田和樹》

関連記事

特集

PageTop

アクセスランキング

  1. 役員報酬自主返納 ~ PGF生命 出向者 11名が 7代理店で 379件情報持ち出し

    役員報酬自主返納 ~ PGF生命 出向者 11名が 7代理店で 379件情報持ち出し

  2. 「侵入前提」にちょっと待った ~ HENNGE が月額 950 円の MDR サービスに脆弱性診断まで付帯したワケ

    「侵入前提」にちょっと待った ~ HENNGE が月額 950 円の MDR サービスに脆弱性診断まで付帯したワケPR

  3. 奴らの仕事は自社製品を壊しまくること ~ Microsoft 攻撃研究チーム「STORM」が示すセキュリティの本気度

    奴らの仕事は自社製品を壊しまくること ~ Microsoft 攻撃研究チーム「STORM」が示すセキュリティの本気度

  4. スマレジ連携アプリへの不正アクセス、連携店舗の顧客情報 外部流出

    スマレジ連携アプリへの不正アクセス、連携店舗の顧客情報 外部流出

  5. 取引先等に約 1,500件のなりすましメール送信 ~ ウェルス・マネジメントグループ会社社員のメールアカウントに不正アクセス

    取引先等に約 1,500件のなりすましメール送信 ~ ウェルス・マネジメントグループ会社社員のメールアカウントに不正アクセス

ランキングをもっと見る
PageTop