工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン5 「ワンタイムアタッカー」 第21回「工藤伸治」 | ScanNetSecurity
2026.10.15(木)

工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン5 「ワンタイムアタッカー」 第21回「工藤伸治」

オレは、いささかあきれていた。そろいものそろってこんな簡単に騙されるとは驚きだ。確かに仕掛けはうまくできていたような気がするが、誰かひとりちょっと確認すればわかったことだ。

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第七章 真相

真田と一緒にタクシーに乗り、サイバーフジシンに着くまでの三十分間、オレは、電話で片山からくわしい説明を聞いた。頭の中で、パズルのパーツがどんどんそろってくる。全部聞き終わった時には、完成していた。パズルは別に複雑じゃない。パズルのパーツがそろうまでが工夫されてたんだ。

オレはサイバーフジシンに着くまでの間、頭をフル回転させ、同時にネットでさまざまなサイトにアクセスして情報を集めた。

「工藤さん、お願いしますよ。工藤伸治の名前がかかってるんですよ」

オレが考え事をしているというのに、真田が横から口出しして邪魔した。

「うるせえなあ」

「お願いしますよ。今日は名探偵ぶりを発揮していただきますからね」

「オレは探偵じゃないんだけどな」

「もう立派な探偵ですよ」

真田は無邪気に笑い、それを見たオレはげんなりした。

サイバーフジシンに着くと、片山が飛んできた。顔色の悪いヤツだが、オレたちを見てさらに悪くなった。オレたちを会議室に案内する間、片山はずっと無言だった。

無理もない、とオレは思った。どこからなにを訊けばいいのか、よくわからないのだろう。頭の中がパニックで整理がついていないに違いない。

会議室には、どことなく貧相なでかい顔の男と、きつい目をしたやせぎすの男が待っていた。どちらも中年だ。片山が、貧相な方を社長の吹田、もうひとりを財務の山内と紹介した。ふたりともオレと真田の顔を穴のあくほど見つめている。中年男ふたりに見つめられるというのは、気持ちのいいものじゃないとオレは思い知った。ふたりとも人相が下品すぎる。オレが言える筋合いじゃないが。

「みなさん、サイバーセキュリティコンサルタント、そして今ではサイバー探偵として有名な工藤伸治さんです」

《一田和樹》

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