Hacker in the Rye ハッカーの夢見た社会 第5回「人工知能の発展と人間の将来」
しかし、人の思考を理解するからこそ危険だという議論もある。実業家のレイ・カーツワイルが述べるように、2045年には「技術的特異点(シンギュラリティ)」という人工知能の知能が人間を完全に超えるとの議論がある。
特集
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●人工知能の歴史
ごく簡単に人工知能の歴史を振り返る。人工知能は人間知能を理解するという目的を持ち、1956年に計算機科学者で認知科学者のジョン・マッカーシー(1927-2011)によって命名された。幾度かの人工知能ブームの中で、80年代に哲学者のジョン・サール(1932~)から、人工知能は人間を理解しないとの批判は、人工知能の本質を振り返る意味で重要だ。
人は自分の父親一人を認識するにせよ、人間であるとか男であるとか、その他年齢や職業、顔の特徴など数多くの認識フレームを無意識に利用することで個体を識別する。複雑なフレームを一瞬で理解する作業は人工知能にできないことを「中国語の部屋」という例え話(中国語ができない人にマニュアルに沿って文字を確認させ、決められた返答を入力することで成立する会話は、中国語を理解したことにはならないという議論)を引き合いにサールは述べる。
しかし、2006年にディープ・ラーニング(深層学習)」という技術の誕生がブレークスルーを引き起こす。人間の神経回路を模したコンピュータ・ネットワークを用いて、人工知能が自ら多くのフレームを自動学習し、人間と同様の複雑な「概念」を獲得可能にしたことで、人工知能研究がにわかに注目された…
※本記事は有料版メールマガジンに全文を掲載しました
《塚越 健司》