2021年SFプロトタイピングの旅 第12回「サイバーセキュリティはうまくはまる分野」 | ScanNetSecurity
2026.07.04(土)

2021年SFプロトタイピングの旅 第12回「サイバーセキュリティはうまくはまる分野」

物語の題材としてのサイバーセキュリティというのは結構魅力的。何かから守る、脅威から守る、ということでモチベーションが湧きますし、色んな人が出てきます。

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2021年SFプロトタイピングの旅 第12回「サイバーセキュリティはうまくはまる分野」
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 1968年に作家のクラークが発表した小説「2001年宇宙の旅」と、同年公開されたキューブリック監督による映画化作品の成功は、その後の人類の宇宙開発に少なからぬ影響を与えました。

 空想科学小説(SF)という文学ジャンルの持つ力を借りて、新しい価値観や目標、今までになかった製品やサービスを考える手法は「SFプロトタイピング」と呼ばれており、Intel社の研究機関の未来学者によって提唱され、近年日本でも注目が集まっています。

 SFプロトタイピングは、飛躍や自由な発想が積極的に許容され、その点が、既知のデータをもとにしたシミュレーションや未来予測とは異なっています。

 未知の要素を最大限考慮に入れながら将来やってくる未来を思い描く。これを「将来やってくる未来」ではなく「将来やってくる脅威」に置き換えれば、それはセキュリティ担当者なら多かれ少なかれみんながやっていることではないのか。

 そんな認識のもとで、2021年夏、1名の作家を含む識者3名が集まり、サイバーセキュリティ領域でのSFプロトタイピングの利活用の可能性について考える勉強会を開催しました。3名の講演とディスカッションで構成され、ディスカッションのテーマに設定したのは、サイバー攻撃の非対称性を無効化する兵器を構想すること。

 登壇したのは、著書「SFプロトタイピング: SFからイノベーションを生み出す新戦略」を早川書房から出版(共著)したばかりの、筑波大学の大澤 博隆 先生、そして、SFプロトタイピングを活用した企業コンサルティングの実績を持つアノン株式会社の森 竜太郎 社長。そして、サイバーミステリー作家の一田 和樹 氏の3名です。(註:所属及肩書は当時)

 昨2021年をはるかに超えて不確定要素が増す現在、3名の講演とそれに続くディスカッションを、勉強会の講演再録として連載でお届けします。第12回は講演者3名によるパネルディスカッションの2回目です。

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【大澤】もしかしたら物語というものの使い方を、出版して本を読む従来の形ではなく、もうちょっと対話的にやったりとか。例えばRPGやネットゲームみたいな感じで、ゲームベースで進めていくような対話式のものがありましたけれども、ああいう形の参加型で伝えていった方がいい話もあるのかもしれないな、という気もします。

 例えば「あなたは 100 人のうちの 1 人です。必ず自殺します」という条件で何が起きているのかを探る、とかだったら動く人は居るでしょう。いろんな形のメディアが出てきているので、従来よりもやりやすい形があるのかなって気がします。そのもの全部がフィクションという中に入ってくるのかなという気はしますね。

【森】魅力のあるサイエンスフィクションは売れるのは当然のことなんですけれども、本当の意味で議論を呼ぶものは、必ずしも世間一般には受け入れられないことも多い。実際、スペキュラティブデザインとかも非常にニッチな形で社会に受け入れられたのか? ビジネス活用がなかなか進まないところもあったと思う。フィクションをアクションに変えるファシリテーターの役割が、もっと重要視されてもよかったのかなと思う。

 多分SFプロトタイピングはスペキュラティブデザインと比較されることが多いと思う。スペキュラティブデザインが悪いとか言っているわけではないが、SFプロトタイピングが社会に新しいツールとしてもっと受け入れてもらうためには、やはりそこのフィクションをアクションに落とし込むファシリテーターの存在が非常に重要なんじゃないかなと思いますね。

 例えば「フィクションを書いてよ」と企業に頼まれたとしても、結局これは何に使えるの、って考えられる媒介者がいないと、価値は生まれないと思う。SFを書ける人とそれをアクションに落とせる人のタッグが非常に重要なのかなと思います。


《ScanNetSecurity》

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